1本1億円の柱や19万枚の金箔……バブル時代の「遺産」伝える動画がYouTubeで人気急上昇
4月4週目、YouTubeチャンネル「ジョーブログ」の人気シリーズ『バブル遺産』動画が急上昇にランクイン。バブル時代の建物にフォーカスした遺産動画はなぜ注目を集めているのか、今回はその理由に迫ってみたい。
ジョーブログは、旅系動画を中心に動画を投稿しているチャンネル。なかでもバブル時代に繁栄し、現在では廃れてしまった街や建物を取材した「バブル遺産」シリーズが人気を博している。再生数が100万回を超えるコンテンツを多数送り出しており、5月1日にはチャンネル登録者数が200万人を突破(5月2日時点)。いま勢いがあるYouTuberだ。
今回急上昇入りしたのは、「【生きるバブル遺産】総工費400億円!昭和の会員制超豪華ホテルに泊まってみた」と題した動画。和歌山県の白浜温泉に、バブル絶頂期に作られた豪華ホテル「ホテル川久」について調査している。このホテル川久は、1949年に作られた「旅館川久」を前身としており、当時は昭和天皇をはじめ、皇族も訪れた名旅館だったそうだ。この旅館川久を総工費400億円をかけて改装、1991年にオープンした会員制ホテルが、このホテル川久だ。
実はこのホテルは、当時の会員費が個人で2,000万から、法人で6,000万からという言わずとしれた超高級ホテル。さらに宿泊には別途10万円から60万円がかかるという高額なホテルだったことから、1995年に400億円の負債を抱えて経営破綻。しかし、その3年後に北海道を拠点とする観光会社が買収し、現在でも宿泊できる“生きたバブル遺産”となったのだ。実際に宿泊できることから、ジョーはこの動画で実際に宿泊し、ホテルの全貌を公開している。
「豪華絢爛とはこのこと」とジョーが話す通り、ロビーは1本1億円といわれる大理石の柱や19万枚の金箔で覆われた天井で作られており、有名画家の作品が数えきれないほど展示されている空間もある。全室スイートルームというこのホテルでジョーが泊まるロイヤルスイートは、120平方メートルほどの広さ。高級ソファやベッドが設置され部屋数もかなり多いが、宿泊費は朝・夕2食付き、2人1部屋で54,000円とのこと。バブル期の会員費や宿泊費を考えると、かなりリーズナブルなのではないだろうか。
これまで廃墟と化したバブル遺産を巡ってきたジョーだが、今回は実際に宿泊できたとあって、「俺ら的には価値があった」と発言。視聴者からも、今後も生きたバブル遺産を紹介してほしいと好評だった。
なぜこのバブル遺産シリーズに注目が集まっているのか。これまでジョーブログで投稿されたバブル遺産動画を含め、視聴者の反応をみてみると、「廃墟」という言葉にネガティブなイメージを抱く人が多くいることがわかる。巨額の費用が使われ、当時は立派で人びとで賑わっていたであろう街や宿泊施設が廃れている様子には、確かに寂しさを覚える。動画の視聴者のなかには紹介されているスポット周辺に地元がある者や、過去にその地域を訪れたという者も多く、そういった視聴者にとってはこの寂しさはなおさらではないだろうか。
しかしながらジョーのバブル遺産動画には、賑わっていた当時を想像させる圧倒的な知識と、地元民でもあまり知らない情報がぎっしりと詰まっており、ネガティブなイメージを払拭する力がある。視聴者はこれらの知識と情報から寂しさと懐かしさを感じているようだが、新しい情報も同時に得ていることから、このバブル遺産動画はノスタルジーと新しさが融合する唯一無二のコンテンツになっていると考えられる。
視聴者の反応から紐解くならば、ジョーブログのバブル遺産動画の人気の理由は、圧倒的な知識と情報量から作り出される、過去と現在が入り混じる独特の雰囲気にあるのかもしれない。
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