EA最新作『アヴェウムの騎士団』プレビューレポ ファーストパーソン魔法シューターはいかにして“バトルメイジ”を作り上げたのか?

 エレクトロニック・アーツ(EA)は4月14日、『アヴェウムの騎士団』(Immortals of Avuem)に関する最新トレーラーを公開した。

「アヴェウムの騎士団」 – 公式発表トレーラー

 『アヴェウムの騎士団』は、アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置くゲームデベロッパーAscendant Studiosが開発する“ファーストパーソン魔法シューター”だ。プレイヤーは本作の舞台・アヴェウムに住まう主人公「ジャック」となり、騎士団の一員として正義のために魔力を振るうことになる。本稿では最新トレーラー公開に先駆けて行われたメディアプレビューの模様を踏まえつつ、現時点で判明している『アヴェウムの騎士団』のゲームシステムなどを紹介する。

騎士団の一員としてアヴェウムを守る“ファーストパーソン魔法シューター”

 約1時間にわたって行われたメディアプレビューには、Ascendant StudiosのCEOを務めるBret Robbins氏をはじめ、計5名の関係者が登壇。キャンペーントレーラーやプレイシーンの上映、リアルタイムでの質疑応答などが行われた。

 まず言及されたのは、本作の開発を担当するAscendant Studiosの歩みについて。同スタジオは「Dead Space」「Call of Duty」といった人気シリーズを手掛けたスタッフ陣によって2018年に結成。なおBret Robbins氏によると、『アヴェウムの騎士団』に関する構想はスタジオ立ち上げ時からすでに存在したらしく、確かな実力を兼ね備えたスタッフたちが一同に介し、約4年の歳月をかけて形を作り上げたようだ。またパブリッシャーにEAを選んだ理由についても、「EAが持つノウハウ並びにリソース面でサポートしていただけたことに感謝しています」とコメント。ドキュメンタリー風の特別映像に合わせ、『アヴェウムの騎士団』にかける同スタジオの熱意を表明した。

 Ascendant Studiosスタジオの説明が終わると、続いて映し出されたのはキャンペーンモードのストーリートレーラー。本作はシングルプレイに重きを置いており、アヴェウムを舞台に20時間を越えるボリュームの物語が用意されていると言う。

 主人公のジャックはもともと魔力を持たない人間として生を受けたが、ストーリー冒頭で遭遇したとある出来事により、後天的に魔法の才が開花。「トライアーク」と呼ばれる赤・青・緑の魔力が発現したことで、アヴェウムにおいて最強と名高い魔法使いたちの組織「騎士団」の門戸を叩くことになった。アヴェウムの大地には魔力が脈々と伝っており、底が見えない巨大な大穴「ルーンド」が中心に座している。騎士団ならびにジャックはそんなアヴェウムを守護するべく、各地で頻発する紛争やうごめく暗躍者へ厳粛に立ち向かう……と言うのが本作の大まかなあらすじだ。ファーストパーソンとジャンル名を銘打っているものの銃器類は登場せず、魔法と広大な大地にもとづくファンタジー要素のみで形成されているのがポイントと言える。

バトルメイジここに誕生 「トライアーク」を使い分けてアグレッシブに戦う

 続いては、ゲームの核となる戦闘システムについてお伝えしたい。本作における魔法使いとは“バトルメイジ”であり、中〜近距離を主体としたアグレッシブな立ち回りが求められる。ジャックの魔力は右腕に取り付けた装備「シェジェル」に集約されており、3種類の魔法(青・赤・緑)を自在に撃ち出すことができる。青はまっすぐ飛ぶ長距離弾。赤はショットガンのように炸裂する近距離弾。緑は自動で発射可能な魔弾……としっかり差別化されていて、シチュエーションに応じた使い分けが大事。闇雲に魔法を撃ち込むのではなく、それぞれの特性を考慮しつつ、時には敵の弱点属性を突くことも必要になりそうだ。

 ここで気になるのは、「ファーストパーソン魔法シューターというジャンルが既存のFPSとどのように違うのか?」という点。この質問に対し、Bret Robbins氏は「従来の質問FPSファンにも納得いただけるように、感触面で大きな違和感が無いように意識した。その上で“そもそもバトルメイジとは何か?”という部分を問い直し、魔法をどのように扱うかをプレイヤーの創造性に大きく委ねることで、本作ならではのテイストを作り上げた」と語っている。

 トライアークをはじめ、ジャックが習得した魔法はゲーム中に手に入るアイテム類を使い、プレイヤーの好みに合わせて自由に強化可能。そのほか、魔力で生成したグラップルフックで掴んだ敵を引き寄せる「コントロール」、大爆発を引き起こす粉砕魔法「フューリー」といった特殊な魔法も存在し、「フックで相手を惹き寄せつつ、胴体にめがけて強力な魔弾を叩き込む」などのコンボを叩き込むこともできる。ただし大技は魔力(マナ)の消費も激しいため、逐次マナクリスタルを拾い集めて魔力の補給に努めなければならない。戦闘を有利に進めるためには魔法の使い分けにくわえ、適切なリソース管理も重要と言えるだろう。

 また、魔法は戦闘のみならず探索面でも有用である。アヴェウムに点在するロケーションには種々様々なギミックが施されており、プレイヤーは局面に合わせて仕掛けを解く必要がある。「スイッチの色に対応した魔法を撃ち込む」ことはその代表例で、正解を導き出すことができれば何かしらの恩恵を得ることができると言う(隠し通路の発見・新たなアビリティの入手など)。上述した躍動感溢れるバトルシステム、そして豊富なパズル要素を含めた数々のアドベンチャー要素。この2点がシングルプレイヤーを軸に据えた『アヴェウムの騎士団』の本懐と言えそうだ。

 『アヴェウムの騎士団』はPC・PlayStation5・Xbox Series X/S向けに発売予定。明らかにされていない部分はまだ多いものの、本稿でお伝えした通りに魔法×FPSのオリジナルファンタジー作品であることは間違いないだろう。新規トレーラーの公開を含め、今後の続報に注目したい。

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