サワヤン・サワ、2200万円の愛車への落書きに激怒 YouTubeの大衆メディア化により車ドッキリも軟化傾向か

 こうした演者の車に無茶苦茶なことをする企画は、テレビのバラエティでお馴染みのネタだった。古くは1979年に放送された「元祖どっきりカメラ」(日本テレビ系)で所ジョージの愛車が圧縮され、小さな正方形の鉄のかたまりにされるドッキリが仕掛けられたことがあった。このドッキリは、鉄塊を前に所が呆然としているところに、突如本物の所のマイカーが現れて、前方の黒塗りの高級車に衝突し、中からその筋の人たちが現れて連行されそうになる……という内容となっていた。鉄塊自体はダミーなのだが、所のマイカーは実際にかなりの勢いで衝突していたため、無傷ではなかったはずだ。また90年代前半、「FNS27時間テレビ」の前身にあたる「FNSスーパースペシャル1億人のテレビ夢列島」では、一時期、明石家さんまの高級車がビートたけしに破壊されることが毎年の恒例行事となっていた。

 しかし、テレビでそんな破天荒なことができたのはもう過去のこと。今はコンプライアンスが強化され、おまけに、テレビのスポンサー離れも危惧される現状においては、テレビ局にとっての大口顧客である自動車メーカーの反感を買うようなことはできないだろう。さらに視聴者も、そういった破天荒過ぎるドッキリを求めていない節がある。2015年に放送された「FNS27時間テレビ」で、平成ノブシコブシの吉村崇が2000万円の愛車「BMW i8」を破壊したことで非難殺到となったのが、良い例だろう。

 そんな背景も関係してか、テレビからYouTubeへと流れてきた車ドッキリだが、近年、大衆メディア化が著しいYouTubeにおいても、車への酷過ぎるドッキリはタブー視されるようになってきた。YouTuberの車ドッキリ動画の中には、さらば青春の光のように実際に車を塗装したり、あるいは、傷つけたりする動画も数多く存在するが、そういった動画は2年以上前に投稿されたものがほとんどだ。

 もちろん、2023年時点でも、車に激しめのイタズラをする動画は投稿され続けているが、チャンネルがーどまんが今年1月5日に投稿した同グループのメンバー・MYが所有する愛車「トヨタ スープラ」のフロントガラスを石のブロックで粉砕する動画には、コメント欄では比較的好意的な意見が多かったものの、Twitter上では車好きからの非難が殺到する事態となった。動画での言動がファンだけではなく、SNSでファン以外の人にも拡散されてしまう時代だからこそ、人気YouTuberはかつてのような無茶がやりにくくなっているのだ。

 そんな事情もあってか、最近はYouTubeにおける車ドッキリも軟化傾向にある。まさに今回のサワヤンのドッキリ動画が好例だ。油性マーカーではなく、すぐに落ちる水性マーカーでペイントするあたり、だいぶターゲットに対しても、視聴者に対しても配慮している。また、数年前まで実際にスプレー缶などで塗装していた車の模様替え系のドッキリも激減。最近では、宮迫博之が愛車「BMW i8」を痛車にされるドッキリに代表されるように、剥がせばすぐに元通りになる「カーラッピング技術」を用いてビジュアルをチェンジすることが一般的となっている。

 このようにどんどん優しくなる車ドッキリ。刺激を求める視聴者にとっては物足りないだろうが、今のYouTubeの最適解として、今後、誰も傷つかない方向で進化していくことだろう。

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