連載「十束おとはの『テック・ファウンダー』」第7回:「SNSの使い分け」について
SNSや配信プラットフォームを使い分ける際の“重要な視点”とは? 十束おとはと考える
プロゲーミングチーム「魚群」に所属し、ゲーム・eスポーツ好きのタレント・MCとして、イベントMCやゲストにも引っ張りだこな“おとはす”こと十束おとはによる連載『テック・ファウンダー』。
この連載では、ゲームやeスポーツのみならず、自作PCを作ったりビジネス書を読んだりと、あらゆるテック・エンタメに興味を持つ彼女が、いま気になる“テック”を深掘りしていく。
連載7回目となる今回のテーマは、「SNSを活用した発信」についてだ。
SNSを活用した情報発信が盛んな現代社会。TwitterやInstagram、TikTokをはじめ、さまざまなプラットフォームが世に登場し、ユーザーによってその使い方や選び方にも個性が表れるようになった。リアルサウンドでは以前、Z世代がインターネットでなにかを検索する際にGoogleを使わなくなったという変化について取り上げた。若年層の間でSNSを活用した検索が主流となっていること、そのSNSの使い分けについて紹介した記事だが、発信する側の立場ではどうだろう? タレントとして活動しながら、OLとしても働く十束おとはの、SNSの選び方や使い分けについて、今回は本人に話を聞く形でお届けする。(編集部)
十束おとはのSNSの使い分けに見る“2つの側面”
さて、導入でもお伝えしたとおり、現代社会は“SNS大戦国時代”と言っても過言ではないほど、数多くのプラットフォームに溢れている。テキストや写真を中心にしたもの、音声や動画を中心にしたもの、あるいはリアルタイムの配信を中心にしたものなど、扱われるコンテンツやその機能もさまざまだ。
現在、十束が活用しているSNSはTwitter、Instagramの2種類で、配信メディアはTwitchとPodcastの2種類。なかでも、もともとゲームやeスポーツが好きで、オタクを公言する彼女にとって、一番使いやすいSNSはTwitterだという。
「やはり、Twitterは文章を書けるのが一番大きいところですね。リツイート機能もあるので、活動のお知らせなんかが沢山の方に届いてくれるのは良いところだと思います。あとは、日常の些細なつぶやきなんかはTwitterに投稿するのが一番向いていると思います。もともと根がオタクなので、Twitterで流行っている言い回しなんかを使いたくなっちゃう瞬間もあります(笑)。そういう意味でも、個人的には一番使いやすいツールです!」(十束)
#エブエブ 鑑賞。好き嫌い分かれそうな気もするけど、私はとても楽しめた!
こまけぇこたぁいいんだ!怒涛のカオスを感じろ!!からの感動シーンに脳が混乱したのと(良い意味で)、確定申告って全世界共通で大変なんだな…。
演技とアクションの説得力が凄すぎて、そこにも感動。 pic.twitter.com/iyAx0sqzON— 十束おとは(おとはす) (@totsuka_otoha) March 6, 2023
Twitterのトレンドをチェックしていると、たしかに時事ネタを中心としながらも、アニメやマンガのタイトル、キャラクター名、ゲームタイトルなどがランキングに入っているのを見かける機会も多い。一方で、そのSNSの空気感にあわせた使い分け方という意味でいえば、十束によるTwitterとInstagramの使い分け方に共感できる人も多いのではないだろうか。
「Twitterをやっていない方も多いので、私はInstagramも活用しています。写真を見るのが好きな方はInstagramを見てくれていることも多いですね。SNSの空気感みたいなものもあるので、ちょっとフェチを感じさせる写真はTwitterで投稿して、Instagramには、あとから見返しても可愛いな、と思えるような写真と文章を投稿するようにしています。それから、写真に一言添えるだけ、というときにはストーリーズもよく使っていますよ。消えることで、気持ち的にも気軽に投稿できるのがありがたいです」(十束)
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SNSの空気感とはつまり、ユーザー層がそれぞれのプラットフォームで異なるということ。Instagramではどちらかといえば、写真を中心に見栄えの良いものが好まれる傾向にあり、投稿する内容もそれぞれ使い分けているようだ。後半のストーリーズについては、発信する側であり、タレントとして活躍する十束ならではの悩みだろう。フォロワーが多ければ多いほど、投稿する内容にも気を遣い、後年になって些細な一言を掘り返されることもあるからだ。
現在はSNS以外にも、さまざまな発信媒体が存在する。特定のユーザー層に特化したものも多く、そのひとつがゲーム実況配信プラットフォームのTwitchがそうだ。ゲーム好きで、eスポーツチーム「魚群」にも所属する十束もご多分に漏れず、Twichを大いに活用している(十束おとはのTwitchはこちら)。
「Twitchといえば、ゲーマーならほとんどの方が知っているプラットフォームですね! ゲームに特化していて、世界中のゲーマーが集まっているので私も使っています。タイトルごとにそのゲームを配信してる人の人数や視聴者の総数や、その配信者がどのゲームタイトルを配信しているとわかるので、私のことを初めて知ってくれる人が見に来てくれたり、最近では海外からの視聴者の方も増えたりしています。分からない言語でもファンの方が同時通訳をしてくださったりもしていて、すごくありがたいです!」(十束)
TwitterやInstagramと比較すれば、発信するハードルは少し高くなるものの、同じくゲームを趣味とするユーザーと交流するうえでこれほどぴったりのプラットフォームもそうないだろう。また、世界共通のコミュニケーションツールとなりつつあるゲームを配信することで、海外のユーザーに届きやすいという点もTwitchの大きな魅力だ。なによりも、リアルタイムで流れるコメントによるファンとの交流は、発信を生業とする活動者の大きな支えだろう。
そして、ファンを始めとして他者とのコミュニケーションを一番深くおこなえるのが、十束曰く「ふんわりと始めてみた」というPodcastだという。
「もともと、ラジオみたいなことをしたいなと思っていて、いろいろ検討していたんですが、一番やりやすそうだなと思ってふんわりと初めてみたのがPodcastです。AnchorというプラットフォームがSpotifyと連携できたり、ほかのところにも流せたりと、広がりがありそうだな、と思って使い始めました」
ゲーム実況の配信をメインとするTwitchとは異なり、Podcastではコミュニケーションをメインに活動するという十束。そのスタイルに至った理由について、十束はこう語る。
「卒業して何をしようかと考えたときに、OLやゲームタレントなど色々と思い浮かんだんですが……以前『シューカツHANGOUT!』(※1)に出演していたときに、人の悩みを聞いて自分なりにアドバイスすることへのやりがいや『大学が決まりました、就職が決まりました、結婚しました』などラジオを通して人との縁がつながっていくことへの幸せを感じたことを思い出しました。その経験が大きく影響してもっと専門的な勉強がしてみたいと思い、キャリアコンサルタントの資格を取得するため学校に通ったりもしています。将来的な夢はありつつも今の自分にできることを考えたときに、リスナーさんからお悩みを募って私なりに解決へのお手伝いがしたいな、皆さんの人生を少しでも明るく照らせたらいいなと感じました。大学時代に学んでいたことも近い内容ではあったけれど、それをお仕事として選ばなかった後悔もあるので、人生の伏線回収に近いですね(笑)」(十束)
こうして振り返ると、十束おとはの発信媒体の使い分け方には2種類の側面が存在することがわかる。一つは、ここまでの大筋で紹介してきたように、投稿するコンテンツやユーザー層に合わせた使い分けだ。そして、もう一つの側面には、一人ひとりのフォロワーやユーザーとの距離感、そのグラデーションが見てとれる。
TwitterやInstagramでは広く、自身を知らない人にも届くように投稿をして、Twitchではゲーム好きのフォロワーからのコメントによる交流を楽しみ、Podcastではひとりひとりのリスナーの悩みや相談に対して答える。
発信することは、沢山のひとに知ってもらうための手段であり、タレントにとっての最重要ともいえる活動のひとつだ。一方で、知られれば知られるほど、ひとりひとりのファンとの距離感は遠ざかってしまう。しかし、それでも十束がPodcastでリスナーの悩みに応え、縁を大切にするのは、彼女がいかに愛を持ってファンと接しているか、その証明なのではないだろうか。
(※1:『シューカツHANGOUT!』=ラジオNIKKEI第一で放送されていたラジオ番組。働くことやキャリアをテーマに、タレントたちがリスナーのキャリアに関する相談に答えていくコーナーが存在した)