ただ“太らせる”だけじゃない! タイムマシーン3号がYouTubeで「芸人界トップクラスの成功」を収めた要因を考える

 タイムマシーン3号がYouTubeの世界で旋風を巻き起こしている。2019年1月に開設されたチャンネルは登録者数70万人を突破し、芸人界でもトップクラスの人気だ。

 特筆すべきはその伸び率。昨年よりショート動画にネタを投稿し始めると、50万人だった登録者数はわずか半年で70万人超え。恐ろしいまでの成長を見せている。なぜ今タイムマシーン3号が大人気なのか、その魅力を紐解いていきたい。タイムマシーン3号の最大の魅力はその「わかりやすさ」にあると思っている。彼らの名を一気に世に知らしめたネタ番組 『爆笑オンエアバトル』でも、満点の545キロバトルを叩き出すなど(満点はますだおかだ、上々軍団、タイムマシーン3号の3組のみが達成)誰よりも客に強い芸人がタイムマシーン3号なのだが、短い時間でいかにリズム良く爆笑を取るかが求められるショート動画全盛の今において、彼ら以上に時代とマッチしている芸人はいないのではないだろうか。

 そして、その根幹を担うのはボケ担当・関太の「キャラクター性」にある。名前が「太(ふとし)、体重100キロ超えの巨漢で大食い、その見た目は音楽プロデューサーの秋元康に瓜二つ。こんなにも情報が多い芸人もいないだろう。そんな見た目に逃げること無く真正面から「デブキャラ」をやり続けるその姿は格好良さすらある。

【公式】タイムマシーン3号 漫才「太らせる」

 彼らの真骨頂でもある、この世の森羅万象すべての体重を増やす「〇〇を太らせる」ネタはその最たるもので、たとえばジブリ作品であれば「天空の城ラピュタ→天丼のふた舐めた」「コクリコ坂から→僕肉焼くから」「千と千尋の神隠し→今度ブクロで肉巻くし」と、タイトルに対して的確に音を合わせながらアンサーを返していく。

 この韻を踏む、いわゆる「押韻」の技術はお笑い界でも古くから使われていて「ダジャレ」という文化を経て近年の漫才でも多く取り入れられているが、タイムマシーン3号のこのネタはどちらかと言えば「ヒップホップ」に近いものがあるのではないだろうか。単純な言葉遊びの気持ち良さ+本人達のキャラクター性を巧みに組み合わせることで、唯一無二の「本人達にしかできない漫才」が完成しているのだ。後半には「ハウルの動く城→サウナに長くいろ」「風の谷のナウシカ→風呂の水がヘルシア」「平成狸合戦ぽんぽこ→強制断食合宿四泊」と、「太らせる」の流れから逆に相方・山本浩司の特徴を活かした「痩せさせる」方向へと展開を見せ、まるで曲におけるクライマックスのような裏切りと感動を見せてくれる。

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