モータージャーナリストが最新輸入車「ボルボ」&「AMG」をレビュー!
日本自動車輸入組合(JAIA)が主催する大試乗会はインポーターの一推しのクルマが一堂に会するイベントだ。今回は北欧の雄、ボルボのBEVとメルセデスブランドからAMGへ移ったオープンスポーツカー、SLについてモータージャーナリストの海野大介がリポートする。
SUVクーペのBEV
『C40リチャージ』はボルボ初のBEVとして2021年に日本上陸を果たしたモデルだ。ちなみにSUVスタイルのBEVである『XC40』が本国スウェーデンで発表されており、日本ではSUVクーペスタイルの『C40』が先となった経緯もあるが、現在ではSUVクーペの『C40』とSUVスタイルの『XC40』が選択でき、『XC40』の方は48Vハイブリッドモデルもラインナップされている。さて、『C40』は導入当初はツインモーター搭載のAWDオンリーだったが、昨年度に一部仕様変更を受け、シングルモーターの前輪駆動モデルがラインナップに追加された。これによってユーザーの好みや使用環境で両モデルともFWDかAWDを選べるようになっている。JAIAでの試乗車は『C40 Recharge Plus Single Motor』でSUVクーペボディだ。
ルーフ後端を寝かせたシルエットが特長的でリアウィンドウ上部やトランクリッドにあるスポイラーがよりスポーティさをアピールする。ドアを開けると見た目の印象通り、シンプルなデザインのコクピットが迎えてくれる。シートの感触や質感も高い。これがリサイクルマテリアルというから畏れいる。スターターボタンなどはなく、キーを持っていれば全てが動作可能になる。ドアの開閉はもちろん、シフトセレクターをDにセットすればスタート。231PSを誇るモーターはフロントに搭載し、前輪のみを駆動する。バッテリー容量はツインモーターモデルのそれよりも小さい69kWhスペックのもの。しかしツインモーターモデルよりも車重が軽量で出力が控えめなこともあり、航続距離は502kmと長い。つまりパフォーマンス絶対主義でなければもっとも実用的なモデルなのだ。
普段使いにはシングルモーター「推し」
走り出しはスムーズ。スロットルにも余裕があるし、BEVならではの大トルクがあるので自分の意思に忠実に加速していける。乗り心地は上質。ゴツゴツした突き上げ感もうまくいなされていた。段差を超える時などはBEVにありがちなバッテリー重量を強く感じるようなズドンといった感じではなく、サスがうまくストロークされている印象。少しペースを上げると、AWDモデルのそれに対してリアの動きが若干気になる場面もあったが、これはリアにかかる重さのせいか。
もちろんそれほどのペースで走ってもクルマは終始安定傾向で、積極的に荷重移動を行うとなかなかにスポーティな走りを体感できる。AWDに対して100万円安いことや航続距離を考えると、普段使いはシングルモーターで十分以上だと思う。なお、試乗車にはオプション設定の純正防災用バッグが載っており、これがまたオシャレなのだ。