超絶技巧のアイシングクッキーで企業から引っ張りだこ……お菓子クリエイター・まんなたぬきが明かす“チャレンジの日々”

 卵白と粉糖で作られたカラフルなクリームで、クッキーにキャラクターなどのデザインを描くアイシングクッキーというお菓子がある。まんなたぬきさんは、このアイシングクッキーでとてつもなくクオリティの高い作品を作り、YouTubeやSNSで人気を博すクリエイターだ。

 ショート動画やイラスト活動など新しい試みにも次々挑戦し、企業からも引っ張りだこのまんなたぬきさんは、いかにして多くの人々から支持される作品を作っているのか。今回はまんなたぬきさんに創作活動の裏側や今後の展望について話を聞いた。

ーー昨年、チャンネル登録者数が100万人突破したということで、おめでとうございます。

まんなたぬき:ありがとうございます。

ーー元々事務職をされていて、洋菓子店に転職をされたそうですが、YouTubeを始めたきっかけを教えてください。

まんなたぬき:YouTubeに本気で取り組んでみようと思ったのは2020年頃、ちょうどコロナ禍になったくらいの時期です。それまではなんとなく、半年に1回ぐらい、ただ撮りっぱなしにした動画を自己満足で載せていました。

 OL時代からアイシングクッキーを作っていたんですが、あまりにハマりすぎてしまって(笑)そこから思いきって洋菓子店に転職しました。いざお仕事になると趣味とは違って生半可な気持ちではできないし、求められるものも本当にいろいろ。順序を考えながら次々に作らなきゃいけないので、そこで技術もスピードもかなり磨かれたと思います。

 少し自信がついてきて、動画をYouTubeにアップしてみようかなといういうときにコロナ禍に入って、世の中がとにかく暗く不安な雰囲気になっちゃったんですよね。外出することもできなくなった中で、自分にとっても他の人にとっても何か楽しいことを配信できたらいいなと思い、始めました。「どうやって作るんですか?」と質問を多くいただくようになったことも、動画を投稿するようになった大きなきっかけですかね。

ーーコロナの影響で出勤日数が減ってしまったというようなことはありましたか。そういったこととYouTubeの活動は関係しているのでしょうか?

まんなたぬき:それもありましたが、ちょうどその頃作業をしすぎてしまい、首をひどく痛めて洋菓子屋さんを辞めてしまったんです。自分のペースで何かできないかなと思っていたところ、少し回復してきたタイミングでコロナ禍になり、もし可能性があるなら、とりあえず3か月間は全力で頑張ってみよう!と決めました。YouTubeで芽目が出なかったら別の仕事を探そうと思いながらやっていました。

ーーチャンネル名の由来と、なぜタヌキのキャラクターをアイコンにしたのか、理由を教えてください。

まんなたぬき:「まんな」は小さいころから呼ばれているあだ名なんです。2014年くらいに見る専でYouTubeアカウントを作ったんですが、本当に何も考えずにネーミングを決めたというか。タヌキは「タヌキっぽい」と一時期言われていたので、「それをくっつければいっか」みたいな。あんまり深い意味はないです。

ーーお菓子アートもさまざまなものがありますが、アイシングクッキーを選んだ理由を教えてください。

まんなたぬき:ちょっと自分でもわからないんですよ(笑)。たまたまです。1番最初にアイシングクッキーを知ったのは、本屋さんで見つけた星野彰子さんの『お絵かきクッキー』という小さな本でした。表紙からもうすごく可愛くて、「こんなにアートでかわいいクッキーがあるんだ!」と一目惚れしました。すぐに本を買って、真似して作ってみたというのが一番最初です。

 アイシングクッキーを始める前は、気まぐれにピアノを弾いたり、お裁縫も好きだったので手作りした雑貨をネットショップで売ったりしていましたが、それはやっぱりただの趣味で。その中でもアイシングクッキーは、なぜかわからないですが、ものすごく極めてみたくなりました。

ーーアイシングクッキーは、絵を描くためのアイシングクリームを作るのがまず難しいと聞きますが、初めから上手にできたのでしょうか?

まんなたぬき:全然上手くできませんでした。星野さんの本を見ながら作ってみたんですが、ぐちゃぐちゃで。本に載っているのは可愛い作品ばかりですが、全然まったく違うものができたな〜(笑)みたいな。でもなぜか納得行くまで極めてみたくなりました。綺麗にできるまでやってみたい!という気持ちが強くなり、のめりこんでしまった感じです。

ーー初めて自分が納得いく作品ができるまでには、どれぐらいの年月がかかりましたか?

まんなたぬき:それなりの形になるまでは1年半くらいかかったかな。前より上手にできたな、イメージに近いものができたな、というのはありますが、今も納得はしていなくて。今まで出来なかったことができるようになるとすごく嬉しい気持ちになりますけど、まだまだ本当に奥が深いなと思っています。

関連記事