にじさんじ「勇気ちひろ」SNSでの誹謗中傷者と示談成立 VTuberへの「誹謗中傷」をめぐる動きに注目

にじさんじ「勇気ちひろ」誹謗中傷の加害者と示談成立

 バーチャルライバーグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLOR株式会社は、所属ライバーである勇気ちひろに対して誹謗中傷行為を繰り返していた人物との示談が成功したことを公式サイトやTwitterで発表した。

 勇気ちひろは、にじさんじの元一期生として2018年から長きに渡りVTuber業界を牽引してきた一人だ。幼い容姿や少し舌足らずな喋り方とは裏腹に、大好きなゲームである『Apex Legends』では誰もが認める目覚ましい上達っぷりを成し遂げ、有名ストリーマーやプロゲーマーも唸るようなプレイングを披露している。CRカップを始めとする様々な大会にも出場しており、にじさんじ内外のFPSプレイヤーとの親交も多い。

多様化するVTuberへの誹謗中傷

 そんな人気ライバーとして活躍する勇気ちひろだが、近年社会問題となっている誹謗中傷に晒されていた。

 誹謗中傷を繰り返していた人物はTwitterにて勇気ちひろを名指しする形で「勇気ちひろの心は壊れた方がよい、」「こいつは毒だ」といったツイートを行なったようだ。名誉感情の侵害を理由として発信者情報開示請求が裁判所に認められ、誹謗中傷を行なった人物が損害賠償金を支払う旨の示談が成立したという。

 VTuberに限らずSNSの匿名性を利用して、名指しで心無いコメントや攻撃的な内容を書き込んでライバーを"叩く"というケースは多い。直近ではライバーがファンとの交流用に利用しているTwitterのファンアート用タグに、わざとショッキングな画像を投稿するといった、かなり悪質で防ぎ難いような嫌がらせも発生している。

 また、VTuberなどの配信者への誹謗中傷では、配信のコメント欄へ直接悪口を書き込んだり、嫌がらせをする「荒らし」行為が発生することもある。配信に投稿される荒らしコメントは、リアルタイムでファンと作り上げていく性質のLive配信においてかなり厄介な存在だ。

近年の「にじさんじ卒業」と誹謗中傷

 VTuberへの悪質な誹謗中傷は、上記で挙げた例を見ても多様化してきている。嫌がらせを受けるライバー本人が傷つくことは言うまでもないが、彼ら彼女らを応援していたり、配信を楽しみにしている大多数のファンを巻き込んでしまう。そして、自分への誹謗中傷に巻き込まれたファンを見て、ライバーは心を痛めたり思いつめてしまうケースも少なくない。

 ほんのわずかな悪意をもった人々の行動で、何十万人規模の人を巻き込むような最悪な悪循環が生まれてしまうのだ。

 2021年6月に引退した鈴原るるも、そういった悪意に晒された一人だ。引退配信では直接的な内容はぼかしつつも、複数の攻撃を受けていたことを改めて説明。「一つ一つちゃんと対処すればよい話なのですが、そのたびに休止しては何もちゃんと話せなくて中途半端になってしまうことが、どうしても私の中で嫌だった。」と自身の配信スタイルやファンへの想いなどを鑑みた結果として卒業という道を選んだ。

 2022年11月には、郡道美玲の配信内での発言を歪曲して悪意のある形で拡散した成人女性が郡道美玲と和解を行なったことが発表されている。ANYCOLOR株式会社は、「名誉毀損や信用毀損行為については、法的対応含め厳しく対処する」と述べた。誹謗中傷の派生として本人の発言を引用したり、歪曲したりするケースも珍しくない。それが直接的な攻撃ではなくとも、印象を操作したり貶めようとする悪意についても対処を続けてほしい。

 また、2022年11月に卒業したアクシア・クローネの卒業もファンに衝撃を与えた。かねてより誹謗中傷や虚偽情報の被害、また本人に関わった所属ライバーへの嫌がらせなどが理由で活動休止。しかし復帰は叶うことなく、2022年12月1日にANYCOLOR株式会社が公式の声明として11月30日付けで卒業したことを明かした。

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