「出願期間は倍率が上昇する」阪大発YouTuberグループのメンバー募集に賛否 母校との適切な距離感とは?

 2022年1月19日、大阪大学の学生が運営するYouTubeチャンネルである「積分サークル」が、弟分の新しいサークルを立ち上げ、メンバーを今年入学の阪大生から募集するという動画を投稿した。これに対して喜びの声と同時に、倍率の上昇を懸念する声が上がった。

 YouTuberの企画や発言は、どこまで出身大学に影響を与えるのか? 大学名を明かして活動する際の注意点や、YouTuberと母校の適切な関わり方について考える。

阪大を受験するみなさんにお知らせがあります。

 積分サークルとは、はなおでんがんのはなおにより設立されたグループ。大阪大学の理系学部のメンバーが多いというアドバンテージを活かして、数学や理系ネタを題材とした動画を主に投稿している。

 1月19日、積分サークルのチャンネルに、さるえる・わがの2人が出演し、新メンバー募集を発表した。内容は、現在阪大にある積分サークルの新メンバーとしてではなく、2人が主体となって新設するサークルの新メンバーの募集だった。条件に「今年入学の阪大生」「バイトや部活は禁止」といったルールを設け、熱量高く活動してくれる人を募集しているという。これに対してファンは、「もともと阪大を目指していたのでモチベが上がった!」「後輩になれるように頑張ります」「新サークルすごく楽しみ!」といった肯定的な意見が多かった。しかし、2日後の21日、「新メンバー募集の動画について」というタイトルの謝罪動画が上がった。

新メンバー募集の動画について

 2人は「共通テスト終了直後かつ志望校の出願期間という受験生がナイーブになるタイミングに倍率を左右させてしまうような募集をかけてしまった」ことを挙げ、「配慮が欠けていた」と謝罪した。実際にどの程度影響があるかは予測できないが、合格点のボーダーギリギリで頑張っている受験生にとっては直前に「倍率が上がるかもしれない」という事実は、精神的に負担になる可能性はありそうだ。やる気になる受験生がいる一方で、追い詰められてしまう受験生もいるかもしれない。影響力のあるYouTuberはそういった点に関しても内容の精査・タイミングの判断をしていかなければいけないだろう。

 2022年に解散した禁断ボーイズは中退した大学ではあるものの、「近畿大学に恩返しがしたい」という想いからオープンキャンパスへの出演を自ら大学側に提案し、出演が決定。その集客力を評価され、その後大学側から正式なコラボの打診を受け、オープンキャンパスで講演会を行い、1300人を集めてホールを満席にし注目を浴びた。当時のチャンネル登録者数は約180万人とあって、これをきっかけに近畿大学に興味を持つ人が増えるのではないかという声も上がった。

まさかの満席?近畿大学のオープンキャンパスに出演させていただきました!!

 これに関しては近畿大学が招待していることもあり、特に問題はないように思うが、行きたい学部、学びたい学問があって目指している人にとって、有名人の影響によって倍率が上がる可能性があるのは不安に思う人もいるかもしれない。

青学にいたカンタくん(水溜りボンド)にインタビューしてみた。

 また、水溜りボンドは出身校である青山学院大学に許可を取り、校内全体を使い、おにごっこをする企画を実施。そして、コラボという形でカンタは青学のYouTubeチャンネルに出演するなど、良好な関係を築いている。また、『東大生』の出演を皮切りに人気を博しているQuizKnockの伊沢拓司は、東大生は勉強だけではなく、エンタメコンテンツを作ったり、バラエティ的なコメント能力にも長けているということを証明し、東大のイメージを一新した。加えて、はじめしゃちょーは大学や受験に関する動画を数多く投稿しており、出身大学が静岡大学であることはあまりにも有名だ。はじめしゃちょーに憧れて、大学の門を叩いた学生は少なくないだろう。これらの事例のように大学側にポジティブな影響を与えているYouTuberは多い。

 たくさんの登録者を抱えるYouTuberは発信力も大きく、受験を控えた10代にとっては影響力もはかり知れない。受験生や新入生を不安にさせるタイミングでの発言には配慮し、プロモーションなどの利益を求めず、大学から依頼があれば恩返しという形で出演するなど、適度な距離感を保ちながら慎重に交流をしていくのがよさそうだ。

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