圧倒的な勢いで、あるいはゆっくりと自分のペースで「さまざまな成長」を遂げた にじさんじタレントらの2022年名配信・名シーン(後編)
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。
メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加している。
2022年も12月を迎え、2023年へと向かう真っ只中。今年、にじさんじは大きな転換期を迎えたと断言できる。そんな一年において、にじさんじのメンバーはどんな配信をし、どんな名シーンを見せてくれたのか。先週に引き続き、「2022年・にじさんじタレントらの名配信・名シーン」について記していきたい。
2022年・にじさんじタレントらの名配信・名シーン(前編)はこちら
一般人には不可能そうなハードルや壁に向かって何度となくトライする。それはお笑い芸人やスポーツマンなど様々なジャンルで共通し、多くの人の心を震わせるドラマだ。
目標として掲げて達成を目指すものもあれば、たまたま気づかぬままに達成してしまったり、必死にもがいても成し遂げることができなかったり……。百人百様のドラマと人間模様が描かれ、リアルタイムで映される生々しい姿に視聴者は心震える。
そんなドラマを垣間見せたうちの一人は、にじさんじの社築。彼は落ち着いた声とテンションを持ちつつ、様々なゲーム・アニメ・マンガなどのサブカルネタに精通する「オタク」としてにじさんじファンに知られている。
最新からレトロまで様々なゲームをプレイしてきたこともあり、ゲームセンスは一級品、なによりにじさんじでも指折りの音ゲーマーであり、これまでに『beatmania IIDX』を中心に様々な達成を見せてくれた。
数々のにじさんじメンバーのなかにおいて、「どこかにいそうで、どこにもいない」「もっとも自分たちに近く、もっとも自分たちから遠い」とすら感じさせてくれる、親近感と神秘性のどちらも持ち合わせた稀有な存在でもある。
そんな社築がここ数年でハマっている音ゲーといえば、スマートフォンゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』だ。現在では公式大会・企画で解説役としてキャスティングされたり、イベントが開催されればランキング上位に入賞することも多く、「社築のリズムゲーム講座」と題した動画を公式からアップされるほどの腕前を持つなど、人気・実力を兼ね備えた人物だといえる。
そんな彼が2022年1月の新年早々に生配信したのが、同ゲームで初めて難易度34を突破した3曲「エンドマークに希望と涙を添えて」「Don't Fight The Music」「the EmpErroR」を初見でプレイしていくというもの。(後日3曲は難易度レベル細分化によって上方修正されている)
BPM257という驚異的な拍数を誇る「エンドマークに希望と涙を添えて」を筆頭に、どの譜面も2本指でプレイする一般的なプレイではなく、2本以上の指を使ってピアノを弾くかのようなプレイを求められている。
急に実装された最高難易度の楽曲、普段とは違う指使い・プレイングが求められる、しかもこの数日前までにじさんじの麻雀企画で出ずっぱりで体力がボロボロで、「この難易度の曲を見た瞬間に、普段使っていたiPadの画面が割れた」という状況でこの日の配信はスタートした。
あまりに複雑な譜面に対して悶えるような声をあげたり、「なんなんだよそれぇ……?」と愚痴ったりと、配信中の社築の一言一言には「音ゲープレイヤーの本音・心境」が滲み出る。
結果的にいえば、譜面難易度をエキスパートからマスターレベルまで解放し、配信内で3曲ともにクリアしてみせた。しかも時間は1時間40分ほど、2時間掛からずに3曲ともにクリアしてしまったのだ。文章にしてみるとなんともあっけない感じがしてしまうが、実際の譜面とプレイングをみれば、そう易々とクリアできる代物ではない。
月間アクティブユーザー数が300万人から200万人とも言われる本作の、様々なプレイスキルをもったファンが社築の配信に集まる。そんなファンに向けて配信途中・最後にはどのようにプレイするか? というコツを伝えている。彼の優しい人柄・音ゲーマーとしての高スキルっぷりが遺憾なく詰め込まれた配信となった。