「自己破産したら人生で一番楽しい30代が消えますよ」と動画の冒頭でそう語るのは渋谷区の不動産店社長を務める滝島一統氏だ。年収400万円で貯金ゼロの看護師がワンルーム投資で自己破産の危機に陥っていることを伝えた動画が、YouTubeで急上昇入りするなど反響を呼んでいる。

　滝島氏が運営に携わるチャンネルである不動産Gメン滝島は、2022年6月に開設された。不動産業界の裏話や知っておくべき知識を伝えていく動画が揃っていて、現在不動産業界を席巻するチャンネルとして成長中。チャンネル登録者数は15.5万人を超える。（2022年12月14日時点）

　そんな中、YouTubeで急上昇入りを果たしたのは、12月9日に公開された「年収400万円貯金ゼロ看護師がワンルーム投資で自己破産の危機『生活回らない…』」と題した動画だ。内容を要約すると、現在フリーランスの看護師として働く女性が東京・渋谷区笹塚に新築1R物件（購入価格：3100万円）、神奈川・川崎市に中古1R物件（購入価格：100万円）を投資目的で購入したが、進めていた話と食い違いがあり、赤字を垂れ流している状態となってしまったという。

　流れとしては、2018年にもともと、同じ職場だった先輩から紹介され、説明を受けた上で笹塚の新築1R物件を購入したという。そして翌2019年の年明けに、中古1R物件の購買を進めたそうだ。そんな話を聞く中で、滝島氏の表情が曇ったのが次のやり取りの瞬間だ。

　「買われてからその不動産会社から『誰か紹介してください』みたいな連絡は？」（滝島氏）→「一人紹介で60万円と言われたので私も60万円（で紹介された）なんでしょうね」（相談者）→「そうですね。60万で料理されたでしょうし、ご相談いただく方がほぼ同じパターンです」（滝島氏）。

　実際、今回の相談者も過去の不動産Gメン滝島の動画を見て似たような相談者がいたことから依頼を決意したという。どうやら、この相談者は完全に条件を理解できていないまま、投資話を進めてしまったという。気づいたら、年収400万の内、年間約100万円ほど、その件に関する支払いが発生し始めたという。さらに上手く売却できたとしても現状500〜600万円ほどの手出しになってしまうというのだ。

　この動画をつい見入ってしまう点はやはり、滝島氏の経験を活かした的確なアドバイスと相談者に寄り添う姿勢だろう。「相談者が今やるべきことは何か・今後どう動くべきか」をしっかりと伝え、その上で相談者が未来を生きる活力を言葉で与えている。淡々としつつも、しっかり相談者の目を見て伝えるべきことを話し、辛い現状を打破すべく、解決策を打ち出している。

　救いがある点は異なるが、事務所での会話の緊迫感は、漫画『闇金ウシジマくん』を連想させる。この”緊張”と解決策を出すパートでの”緩和”が、不動産業界の闇が露見する動画をエンタメコンテンツとして消化させている。

　それに加え、不動産に関する専門知識も勉強することができる。こういった“甘い話”はいつどこで、自分の身に降りかかってくるかわからない。特に職場の先輩に持ちかけられた話ならば、断りにくくて当然だろう。しかしこのような動画が広まることで、今後、同じような被害者が増えないための抑止力になると考えられる。だからこそ、たくさんの視聴者が興味を示し、急上昇入りを果たす結果となったのではないだろうか。不動産業界の闇に迫った内容。気になる方はぜひ、チェックしてみよう。