インターネットエンジェル育成に、絵に描いたYakiniku……VTuberのゲーム配信で話題になった2022年のゲーム

2022年、VTuberの配信で話題になったゲーム

 YouTuberやVTuberの配信における人気コンテンツである、ゲーム実況。プレイされるゲームとしては、『Apex Legends』、『Minecraft』、『Dead by Daylight』などが有名だろう。また、2022年に発売された『スプラトゥーン3』や『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』などのビッグタイトルをプレイする配信者も多い。

 流行りのゲームを人気の配信者がプレイすることで、さらに大きなムーブメントが生まれることは往々にしてあるが、その逆で、さほど知名度は高くなかったものの、ゲーム配信をきっかけに大きく盛り上がったゲームも存在する。

 そこで本稿では、2022年に発売されたゲームの中で、VTuberの配信を彩ったいくつかのゲームに焦点を当てて紹介していく。

『NEEDY GIRL OVERDOSE』

 最強のインターネットエンジェル(配信者)を目指す、承認欲求強めの女の子・あめちゃん。彼女の”ピ(恋人でありプロデューサー)”となって、あめちゃん扮する、超絶最かわてんしちゃん(超てんちゃん)の配信活動をサポートしたり、心身ともによりそって二人三脚でフォロワー100万人の配信者を目指す大人気マルチエンディングアドベンチャーゲームだ。

NEEDY GIRL OVERDOSE リリースPV

 本作は普段YouTubeで配信活動を行なっているVTuberたちが、プレイヤーとして超てんちゃんを育てるという構図の妙や、育成ゲームとしての面白さなどを視聴者に見せたことで、爆発的に流行したという経緯をもつ。

 全編を通じ、地雷系メンヘラ彼女あめちゃんに対しての対応は、メッセージのやりとり、受け答えの全てにVTuberたちの個性が光る。また、超てんちゃんへの配信指示などのプレイを通して、VTuberたちの考えや配信に対しての姿勢なども一部垣間見ることができた。

『閉店事件』

 ゲーム配信において、FPSなどと並ぶ屈指の人気ジャンルであるホラーゲーム。そこに属する『閉店事件』は、粗いポリゴンと独特な雰囲気で、古いビデオを見ているようなどこか不気味な世界観が特徴的なChilla's Artの新作タイトルだ。

The Closing Shift | 閉店事件

 本作の特徴は、スターバックス風のおしゃれなカフェバイトの閉店作業という、一見ホラーとは無縁のシチュエーションにある。ホラーゲームとしての面白さだけでなく、スターバックスの雰囲気がただようカフェパートも存在し、どこかシミュレーター系のゲームを見る楽しさもあった。

 深夜の閉店作業、もくもくと作業をこなすなかで訪れる珍客やトラブル、それに対するVTuberたちの悲鳴や怒号などのリアクションは千差万別だ。なお本作には複数のエンディングが用意されており、さまざまな展開を見られるため、複数のVTuberの配信をチェックしてみるのもいいだろう。

『夜廻三』

 続いて紹介するのは、『夜廻三』。夜の街を探索するホラーアドベンチャーで、日本一ソフトウェアの「夜廻」シリーズの第3弾だ。

『夜廻三』プロモーションムービー

 可愛らしいキャラクターが活躍するのとは裏腹に、恐怖心をあおる、作り込まれたストーリー展開が人気の「夜廻」シリーズ。『夜廻三』では、呪いをかけられて記憶を失った主人公の少女を操作し、夜の街を探索しながら、呪いを解くカギとなる「思い出」を探していく。

 「お化け」のいるフィールドを、懐中電灯の明かりを頼りに進んでいくという王道のホラーゲーム感を楽しめるだけでなく、集めた「思い出」から真実に近づいていく体験を、配信を見ながら一緒に楽しめる。

『Ib リメイク版』

 2012年に発表された伝説のフリーホラーゲーム『Ib』が、10年の時を経てリメイク版として登場。ほぼ全てのグラフィックが一新、新要素もふんだんに盛り込まれ、オリジナルのファンも十分に楽しめるリメイク作品として話題となった。

 本作は、両親と美術館を訪れた少女・イヴが、美術館の異変に巻き込まれるという展開の2D探索アドベンチャーホラー。美術館ならではのおそろしい雰囲気とキャラクター、独特な謎解きに多くのプレイヤーが魅了され、一大ブームを巻き起こした。

Ib リメイク版 日本語 発売日発表トレーラー

 VTuberの配信でも、当時の思い出や記憶を頼りにした感慨深いプレイを見ることができた。コメント欄にもオリジナル版をプレイ済みのリスナーがあふれ、名作を懐かしむワイワイとした雰囲気に包まれていた。一方で、リメイクの方が初見プレイとなるVTuberも多く、新鮮なリアクションを届けてくれることも。改めて、『Ib』という色褪せない名作ゲームの底力を感じることができた。

『Yakiniku Simulation』

 まさかの”焼肉シュミレーター”としてネット上を震撼させた『Yakiniku Simulation』。このゲームさえあればいつでもどこでも焼肉ができ、いくら焼いてもカロリーゼロという、夢のようなゲームだ。

Yakiniku Simulation

 ただただ肉を焼くという、いさぎよく尖ったそのゲーム性は、2021年に話題になった『PowerWash Simulator』を彷彿とさせる。なお、本作には「スコアチャレンジ」「タイムアタック」などさまざまなモードが用意されており、楽しみ方の選択肢はひとつにとどまらない。

 VTuberの配信内容も、リスナーと擬似焼肉を楽しんだり、ひたすら肉を焼きながらリスナーとの雑談を行なったりとさまざまだった。ゲームがシンプルなだけに、それぞれの色が出る配信となり、ときには雑談に夢中になって肉を焦がしてしまうという場面も見られた。

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