「自分が主役のゲームを作りたい!」 湊あくあの夢叶いし恋愛ゲーム『あくありうむ』が泣ける

 そしてもうひとつ、ゲーム全編を通して印象的だったのが、湊あくあ自身が歌うオープニングテーマ「未だ、青い」とエンディングテーマ「カシオペア」の2曲。彼女はもともとホロライブの中でもアイドル人気が高いメンバーで、これまでにオリジナル曲を多数発表しているほか、昨年末~今年にかけては代表曲「#あくあ色ぱれっと」がTikTokで流行し、現在までに同サービスでの再生回数が1億回を超えるヒットになっている。

【あくありうむ。EDテーマ】カシオペア【Vo.湊あくあ】

 そんな彼女の新曲として、「未だ、青い」はじんが、「カシオペア」はハムがそれぞれ制作。ゲーム内の物語や登場人物たちの気持ちをさらに補完してくれるような内容で、「絆は切れても また結び直せる」という作品全体の重要なテーマを伝える楽曲に仕上がっている。どちらの曲も作中の重要な場面で登場するため、プレイ後の印象が大きく変わるはずだ。

 筆者の場合はボイスをフル再生で全ルートをクリアするまでのプレイ時間が約8~9時間ほどだった。じっくりプレイすれば、9~10時間は遊べる作品だろう。ゲーム本編だけのDL版が2,420円、B2タペストリーやアクリルフィギュア、アクリルキーホルダー、書き下ろし小説&朗読CD、オリジナルサウンドトラックが同梱された完全限定生産版が8,778円ということを考えると、プレイ後の満足度も含めてかなり良心的なボリューム/価格設定で、そのうえでひとつのゲームとしてしっかり楽しめるつくりになっているのがとても印象深い。

 また発売前に行なわれた自身の先行プレイ配信を筆頭に、発売以降も兎田ぺこら、博衣こより、沙花叉クロヱ、大空スバル、尾丸ポルカ、紫咲シオン、夜空メルなどのホロライブメンバーや、様々なVTuber/配信者による『あくありうむ。』実況配信も行なわれている。配信可能区域は物語が急展開していく直前のチャプター2終了までとなるものの、アドリブの台詞を補完したり、限界化したり、何とか主人公とシンクロしようと頑張ったり……それぞれの配信でのリアクションや進め方によって、さらにゲームの楽しみ方にバリエーションが加わっていく様子も面白い。

 発売に際して、湊あくあは「この作品が出ることで、(ホロライブメンバーやVTuberで)今後ゲーム作品を出したいと思った人たちが出しやすい環境になってくれたら嬉しい」と語っていたが、VTuberならではの文化も活かしながら、ゲームとしてしっかりと楽しめるものに仕上がっている『あくありうむ。』は、まさにそんな作品のひとつになりそうだ。

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