日本独自のエンタメを活かすために必要なクリエイター支援の理想像 『SIW SHIBUYA 2022』セッションレポート(前編)

異業種のクリエイター同士交われる”場”の創出が大切

 セッションの後半では、クリエイターにおけるコミュニティの重要性について話題が上がった。

 柿本氏は「コロナ前は海外の憧れのクリエイターと仕事する機会や、今ホットなクリエイターが集う場に出向いて情報交換できていたが、コロナ禍でそれがなかなかしづらくなった」と語る。

「パソコンのスペックも上がり、さらにオンライン化が進んだことで、わざわざ映像編集室に来なくても仕事ができるようになりました。でも、その弊害として、『クリエイター同士の横のつながり』が希薄化してしまったんです。そのため、人を介してのインプットが減ってしまい、知識やノウハウのアップデートをしにくくなっているわけです。なので、本当に集うべきクリエイターが集まれる”場”の創出が、これからより一層大事になると思っていて。異業種の人が集まり、そこから化学反応が生まれて新しいクリエイティブが生まれる土壌を作っていくことが求められるのではないでしょうか」

 里村氏も「アメリカとかだと、アーティスト・イン・レジデンスのようなクリエイターやアーティストが活動できる場があり、異業種と交わりながらクリエイティブを追求していく発想がある」と述べる。

「日本にはたくさんのアセットや独自の文化があり、それらを忘れないようにしながらWeb3.0のような新しい技術を生かし、レバレッジをきかせられるようにサポートしていきたいと考えています。古い伝統と新しい潮流の融合や、新旧問わず活躍するクリエイター同士が集えば、日本独自のクリエイターエコノミーを生み出すことも可能ではないでしょうか。海外の真似ばかりしていても負けてしまうので、日本でしかできないことは何かも含め、今後もいろいろと模索していきたい」

 渋谷区の掲げる「ちがいを ちからに 変える街」になぞられえるように、クリエイターやアーティストが力を合わせ、渋谷から日本のクリエイティブを牽引していくための先駆けが「渋谷クリエーター制度」になるのではなかろうか。

メタバースにおけるクリエイティブはさらに深化する ツールの発展が制作にあたえる影響とは

ここ数年で注目度が日に日に高まっている“メタバース”。ユーザーの参入障壁は、あらゆるサービスやデバイスの普及により、どんどん下が…

関連記事