三谷幸喜も絶賛し、TikTokでも話題 コットン・きょんの“キモい”を“愛おしい”に変える演技力
サチコ以外の動画を観てもそのディティールの細かさは尋常ではなく、きょんの演じているキャラクターを見るたび、どこまで人間観察をすればここまでの別人格を自分の中に降ろすことができるのかと驚愕する。特に「色んなアパレルショップに差し入れを持って来てくれる男・けんぴす」は「面白さ」と「可愛さ」と「恐怖」のバランスが恐ろしいほど絶妙な最高のキャラクターに仕上がっている。
笑った後に一瞬で真顔になる表情の切り替え、絶対に店員と合わせることのない挙動不審な目線、聞き取れるか聞き取れないかのちょうど中間に位置するスピードの早口、ちょいちょい挟んでくる彼氏ヅラ、その一挙手一投足が接客業をしている人間なら一度は体験したことがあるであろう「どこからどう見ても怪しいが意外と優しくて害はない不審者未満の客」を完璧に体現していた。けんぴすがどう思われているのか、会話を終えた店員・みきぴすの放った「ふぅ……」のため息が全てを表しており、痛々しさで胸がはちきれそうになった。
続く「アパレル店員に差し入れを渡すだけの男と新人アパレル店員の初々しいやりとり」では、相手が新人店員だからなのか1ミリも合わせなかった目がバッチリ合っており「俺が色々教えてあげなきゃ」という雰囲気がビンビンに伝わってくる。相手によって接し方を変えているのが恐ろしいほどにリアル。もはや「コント」の域を超えたザ・ノンフィクションと言っても過言ではない。
しかし、最新の動画ではけんぴすの良い意味での純粋さにみきぴすの心が動いたのか、ただけんぴすの話をあしらうだけの対応が、ちゃんとした人と人とのキャッチボールになっており、二人の心が通じ合う姿に謎の感動を覚えてしまい、2人に幸せになってほしいとすら思った。
サチコ然り、けんぴす然り、きょんが持つ「愛嬌」はもはや天性。ほかの人間が演じると「気持ち悪さ」が勝ってしまいそうな危険なキャラクターも、きょんが演じることで「愛おしい」に変わる。この世にはきょんの演技を見ることでしか味わうことのできない感情がある。コントのみならず、ドラマや映画など活躍の幅を広げそうな彼の活躍にこれからも目が離せない。