『シャドウバース』×『ちいかわ』コラボが大盛況 “ゲーム×IPコラボ”の成功例に共通する特性とは?

“ゲーム×IPコラボ”の成功例を分析

『グランブルーファンタジー』

 冒頭で述べた『シャドバ』も含め、ゲーム周りのIPコラボと言えばスマートフォンアプリ(モバイルゲーム)のイメージが強い方も多いのではないだろうか。おそらく事情通でもその数を把握することは困難なはず。と言うのも、2022年9月時点も毎日何かしらのモバイルゲームでコラボイベントが開催されており、時には過去のイベントも時を越えて蘇るからだ(復刻)。8月6日公開の映画『ONE PIECE FILM RED』に則したコラボイベントが複数のモバイルゲームで実施されていることからも、筆者の頭に浮かんだ”世はまさに大コラボ時代”という安直な表現もあながち間違いでは無いのかもしれない。

 話を戻そう。ここで取り上げたいのは、『ワンピース』映画のコラボイベントも行われたモバイルゲーム『グランブルーファンタジー』である。”本格スマホRPG”というキャッチコピーのもと、2014年よりサービス稼働中の同作では、上述の『フォートナイト』やその他ゲーム作品のコラボ事例と異なり、とりわけコラボシナリオや付随する演出面に力を入れた展開が目立つ。単に版権キャラクターをスキンアイテム化するのではなく、版権キャラクターと『グラブル』内のキャラクターが密接に関わり合い、両作品の世界観と調和しながら物語が紡がれていくのである。『ウマ娘』『アイドルマスター』『ラブライブ』、『名探偵コナン』『ドラえもん』『銀魂』……等々、作風の違うゲーム・漫画・アニメ作品のキャラクターが異世界転生の如く『グラブル』の空を訪れ、経緯は事なれど危機を退けて元の世界へと戻っていった。

 また、IPコラボで重視される”原作の再現度”という点においても、『グラブル』は徹底した力の入れ具合が見受けられる。顕著な例で言えば、2021年4月1日(エイプリフール)で実施された『ボボボーボ・ボーボボ』コラボイベント。原作のぶっ飛んだギャグ要素を惜しげもなく取り込んだほか、20年近く経っても色あせない伝説のネタ「亀ラップ」を「『グラブル』の為だけに新録&新規描き下ろしの二本立てで盛り込む」といったこだわり具合に、ネット上では原作ファンから「(良い意味で)狂っている」等の称賛が飛び交った。

 IPコラボにおいて、「原作のテイストをどのように再現するか」「コラボ先の世界で版権キャラクターをどうやって描写するか」という問題は常に存在するが、『グラブル』の事例はそうした問題に対する一つの解答として効果を上げており、同時に「版権作品のファンが『グラブル』を知る」「『グラブル』ファンが版権作品に興味を持つ」といった認知度の拡大にも寄与していると考えられるだろう。

 ユーザーに対するサプライズとして、あるいはマーケティングの観点から利用者数増加や諸々の諸事情を背負って度々繰り広げられるIPコラボ。普段プレイしているゲーム作品のコラボイベントはもちろん、興味があれば未プレイ作品のコラボ事例にも目を向けてみてはいかがだろうか。

 

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