『遊戯王 マスターデュエル』ユーザー待望の要素が追加も、先攻有利がより顕著になった環境をどう考える?

『遊戯王 マスターデュエル』で顕著になる先攻有利

 そんな現環境だったが、7月に追加されたカードによって『遊戯王』の先攻有利はより顕著になっており、その点に不満を漏らすユーザーも少なくない。

 そもそも現在の『遊戯王』は、先攻で強力な盤面をそろえ、相手に何もさせずに勝利する動きが強力な先攻有利のカードゲームだ。それでも、相手ターンに使用できる『灰流うらら』のような妨害カードが存在し、後攻のプレイヤーへの対抗策が確保されている。そのため、デッキ構築では展開に使用するカードと、後攻の際に使用したい妨害札のバランスを考えなければならないし、デュエルの際には先行プレイヤーは相手の妨害札に対応して展開し、対する後攻プレイヤーはどこで妨害札を使うかに頭を悩ませる。こうしたやりとりが『遊戯王』の面白さの1つとなっている。

 しかし、現環境では先攻プレイヤーの展開が妨害札を乗り越えやすいため、後攻を引くだけで成すすべなく負けるデュエルが多く、先攻後攻を決めるコイントスで勝敗が決まってしまうと感じるユーザーが少なくないのだろう。

 とはいえ、カードゲームでは数種類のデッキが環境上位を占め、多く見かけることになることは少なくないし、それに賛否の声が挙がることは避け難い。また、強力なデッキが固定化されている環境は、独自の対策カードが活躍したり、今まで注目されてこなかったデッキが環境デッキに強いというだけで数を増やすなど、様々なデッキが見られる環境とはまた違った楽しさもある。実際、マスターデュエルでも『勇者』を搭載したデッキの対策のカードとして、『アーティファクト-ロンギヌス』や『ラーの翼神竜-球体形』など、これまで日の目が当たらなかったカードが注目されるなどの変化があった。また、『デュエリストカップ』では、より環境デッキ同士の対戦が増えたこともあって、対策カードの種類など細かいデッキ内容の変化があったようだ。

 筆者個人は、環境に対応してデッキ構築やプレイングを変化させるようなメタゲームが好きなため、現在の環境も楽しくプレイできている。その一方で、同じような動きをみることが多いことや、一方的な展開が頻発しやすい現在の環境に不満を抱くユーザーが増加し、離脱してしまわないかは不安が残るポイントだ。

今後は『遊戯王 マスターデュエル』独自の環境に期待

 上述した通り、フリーマッチの実装や、デッキ枠の増加などユーザーの声を反映するアップデートが行われた一方で、デュエルの環境など不安も抱える『マスターデュエル』。今後も追加カードやリミットレギュレーション(禁止制限)の変更などで、環境の変化はあることは間違いないが、これまで通り、アナログ盤で強力なカードが『マスターデュエル』でも猛威を奮う流れには変化が欲しいというユーザーも少なくないだろう。特に今後は、『烙印融合』や『スプライト』など、アナログ盤で猛威を振るったカードが登場することを考えると、単なるアナログ盤の後追いではない、『マスターデュエル』ならではの変化が欲しいところだ。

 7月の『ワンダリング・トラベラーズ』に続き、8月にリリースされた新パック『インヴィンシブル・レイド』では、『ビートルーパー』と『ダイノルフィア』という、日本のアナログ盤には未実装の海外盤限定テーマが先行実装された。

 また、8月末にはリミットレギュレーションの改訂が行われ、先攻有利を加速させていた汎用的なカードである『抹殺の指名者』や『王宮の勅命』『虚無空間』といったカードに規制が入った。依然として強力な『D-HERO デストロイフェニックスガイ』は、その特殊召喚を容易にする『フュージョン・デステニー』や『捕食植物ヴェルテ・アナコンダ』をアナログ盤の禁止カード指定にするのではなく、その特殊召喚を補助する『D-HEROディバインガイ』を禁止にし、『フュージョン・デステニー』は制限カードにするなど独自の改定を行った。

今回行われる改定では、『スキルドレイン』の準制限化など、マスターデュエル独自の方向性が見受けられた

 こうした国内未実装のカードの追加に加え、アナログ盤とは異なる特色のある独自のリミットレギュレーション(禁止制限)の設定などで、『マスターデュエル』ならではの環境が生まれれば面白いのではないだろうか。今後のアップデートでも、こうした点を期待したい。

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