にじさんじの“ママ”、ドーラが行った「改革」とは
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。
メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加している。
デビューから順を追うように紹介してきた本連載。元1期生、元2期生、元ゲーマーズ組の次は2期にわたる元SEEDs組。その中から今回は『にじさんじのファイヤードレイク』ことドーラについて書いていこうと思う。
赤い髪、赤い角、赤い瞳にややクセの強めな長い赤髪、赤いウロコが上半身から下半身にかけて張り付いており、胸元からおへそまでを大きく露わにしたグラマラスかつ美しいプロポーションで、見るものを惹きつける。
2018年6月3日にTwitterデビュー、6月9日にYouTubeにて初配信。ちなみに先日8月19日に自身の誕生日を迎えたばかりである。
「こんな癒されそうなドラゴン初めてなんだけど」
「声から滲み出る人柄の良さが素敵」
「とても優しい性格の方なんだろう」
そのカッコよく凛々しい見た目から注目を集めていたが、初配信をみたリスナーは少し低めで丸い声色とのギャップにヤラれてしまったのだ。
一人称は「わし」、語尾に「~じゃ」と付けるなどかなり古風な口調で喋ることが多く、その威圧感・存在感ある見た目・丸みある声色・特徴的な口調と言い回しは、ほかのにじさんじメンバーから見てもあまりないキャラクターとなっている。
キャラクターの濃い面々が揃う元SEEDs組1期生のなかにあって、常識人かつ癒やし枠として振る舞うことが多く、配信外での連絡や企画のとりまとめやリーダー的な立ち位置となることが多い。
過激な言動が多いSEEDs元1期生メンバーにツッコミ、諫め、まとめ上げ、グダグダし始めたら場をシャキっとさせる。その振る舞いと姿勢、何より声色も相まって「ドーラママ」と形容されることもまた多い。
元SEEDs組以外の面々と絡むことでも同じように「ママポジション」となることが比較的多い彼女ではあるが、ファイヤードレイクが故に「人見知り」な部分が強く出ることもあるようだ。
これまでの配信を通じてみると。ソロ配信がかなり多め。コラボ配信をみてみれば元SEEDs組やド葛本社だけでなく、MCU関連作品が好きなベルモンド・バンデラス、ニュイ・ソシエール、早瀬走、渋谷ハジメといったある程度仲良いメンバーとの絡みが中心で、そのほかのにじさんじメンバーとは一切関わりがないこともあってか配信上で見ることはほとんどない。
2018年に数か月違いでデビューしているがこれまで殆ど付き合いがなかったという月ノ美兎は、2021年に開催されたライブ『にじさんじ AR STAGE "LIGHT UP TONES"』のリハーサルを通じてドーラへの印象をこのように語っている。
「ドーラさんはね、話しやすい、とっつきやすい、そしてしっかりもの」
「わたくし視点だと、ドーラさんはパーソナルスペースがぶっ壊れてたんですよ。ドーラさんも多分スキンシップ多めの人で、ドーラさんが後ろから抱き着いてきたのを、あたしが腹巻きみたいに固定したりして、ドーラさんとはかなりパーソナルスペースのぶっ壊れが著しかった」
それに対して後日ドーラ本人はこのようにリスナーに説明している。
「女の子でもスキンシップが苦手な子がいるし、ちゃんと距離感を測って『この人は触っても嫌がらない子だな』と思ってからスキンシップの距離感を取っていく」
「美兎さんは『触っていい』のハードルがめちゃくちゃ低かった。触られて嫌がらないし、なんなら触ってきてくれるタイプのひとだと思った。しかも小っちゃくて可愛いんよ!」
お互いのパーソナルスペースがとても近しかったこともあり、かなりの密着度合いですぐに仲良くなれたことを明かしているわけだが、こうしてみればまさしく「人を見て知る」というドーラらしい振る舞いが見えてくる。
高い献身性、世話好き、そして人懐っこい一面は、彼女の人見知りな性格がゆえのキャラクターとして同僚やファンにゆっくりと伝わっていくことになったのだ。