にじさんじの“清楚”代表? シスター・クレアが活動を通して表現する「継続」の重要性
穏やかな口調とクリアな声色を持った彼女の雑談配信は、先述のように品の良さや清楚なムードが先だった配信が多いが、一度笑い始めると収まるまで時間がかかったり、疲れがたまったりすると寝落ちしてしまったり、ミュートが外れていたことに気付かずヨルシカの楽曲を口ずさんでいるのがバレてしまうなど、意外な面が露見することもチラホラ。
先日にはSNS上で急に餃子パーティを始めるなど、SNS上では普段の配信でも感じられない茶目っ気が比較的多く見られる傾向がある。
普段は穏やかで爽やかな清楚なシスターが、ネットのなかでたまに覗かせる裏の顔。そんな一面を彼女から表現されると、「こういう彼女が見てみたい」と妄想がかきたてられる。
いじわるなコメントが目立つこともあるが、不思議なほどに彼女のコメントは一様に敬語口調なかたが多くいるのも事実である。「こんなクレアさまがいたらいいな?」という妄想は二次創作へと発展する。
最たる例はファンメイド楽曲「DOGMA」であろう。
2019年7月に公開されたこの楽曲は、数か月後にはクレア自身が歌唱することで半公式化。聖職者が闇へと堕ち、罪人に死を与える執行者として描かれた歌詞、歪んだベース&重たいキックサウンド、三連符を多用した符割に銃声音、そして「救済執行」と発したときの威圧感やオーラをともなって、この言葉はパンチラインとなった。
聖職者たるクレアとは正反対の暴力性に溢れたリリックとサウンドメイクのなかにあって、か細くもしっかりとした声でフロウしていった1曲は、当時でも衝撃的であったろう。
そんな衝撃から時を超えて2021年、歌い手の0によるカバーがTikTokでバズり、再度脚光を浴び、原曲であるこの曲にもふたたび注目が集まり、現在では多くの歌ってみた・踊ってみた・面白動画のBGMにまで広まっていくことになった。もちろんクレアもこの動きに呼応し、ダンス動画をYouTubeとTikTokに投稿している。
@sister__cleaire ダンスバージョンが出来ました☺️音源も新しくなったから、どんどん使ってね!ダンスも踊ってくれたら嬉しい💞 #DOGMA #踊ってみてね #音源 #音源使ってね #歌ってみた #dogma #wotaku
これは筆者の勝手な想像にはなるが、バンダイナムコエンターテインメントが手掛けるダンスミュージックをテーマにした音楽原作キャラクタープロジェクト「電音部」にクレアが抜擢されたのも、この「DOGMA」の影響も少なからずはあったろうとは思う。
作中ではシブヤエリアにある帝音国際学院に所属する瀬戸海月役として活動しており、多くのキャラソンを歌唱している。もっとも彼女自身はにじさんじのなかでも声劇に参加することも多く、演技者としての一面も見せてはいたわけだが、やはり決め手となったのは「DOGMA」で自身の透明感ある声とダンスチューンのハマり具合が知られていたからだろう。
アニメ作品・ゲーム作品が未だに発表されていない同作品ではあるが、音楽原作の名の通りハイクオリティなダンスチューンの数々やライブイベントを通してジワジワとファンを増やしている最中にある。
「シスター・クレアと音楽」という立ち位置で見れば、自身に近しい人が話題にあげるだけで我を忘れてしまうことあるほどのアイドル・声優・アニソン好きでもある。特にハロプロ関係にかなり熱を上げており、SNS上でのやり取りをきっかけにプロデューサーであるつんく♂とやり取りを交わす。
その後、つんく♂とCAMPFIREが主導した「つんく♂×ボカロP×VTuber」によるリビルドプロジェクト企画にも参加し、「もしも・・・」を歌唱するなど、自身の憧れの存在との共同作業に至ったことも話題になった。
お淑やかで清楚という落ち着いたイメージをそのままに、少しばかりのユーモアとアツいオタク気質が顔を覗かせ、意外なまでの行動力と芯の強さが活動の端々から感じられる。「可能性を秘めたチャレンジ枠」としてデビューした彼女は、いまや望外な可能性と夢を掴み始めているのだ。