ゲームのダウンロード購入経験者は4人に1人。利用実態から見えてきた“業界の思惑”とは
ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチとコンサルティングを主事業とする株式会社ゲームエイジ総研は6月23日、ダウンロード購入と、サブスクリプション・クラウドゲーミングの利用状況に関する調査結果を発表した。
以前と比較すると、随分と身近になった印象のあるこれらのサービス。その利用実態から見えてきたユーザーとプラットフォーマーの乖離に、隠された業界の思惑を垣間見た。
調査結果から浮き彫りになった、各サービスは「発展途上」という現状
件の調査によると、「ゲームのダウンロード購入を利用したことがある」としたのは、全体の25.3%、「サブスクリプション・クラウドゲーミングを利用したことがある」としたのは、それぞれ4.3%だった。また、利用・非利用の理由について尋ねると、「店舗に足を運ぶことなく、気軽にゲームを購入・プレイできる」「パッケージに場所を取られない」「安価にさまざまなタイトルを遊べる」といった利便性の面がメリットに挙がった一方で、デメリットには「物理的な形で所有できない」「中古として売却できない」といったデジタルサービスならではとも言える意見が集まった。
同調査は、2022年6月の回答時に何らかのゲームをプレイしていた国内の10~50代の男女・2,906名を対象に、オンラインで実施された。(少なくとも調査に参加できる程度には)不自由なくインターネットを活用でき、かつ、日常的にゲームカルチャーに触れているであろう層であっても、各サービスの利用率は、ダウンロード購入で4人に1人、サブスクリプション・クラウドゲーミングで25人に1人という現状だ。
利用実態と市場動向の乖離にみた「プラットフォーマーの思惑」
こうしたユーザーの利用状況とは裏腹に、業界では昨今、ディスクドライブを搭載しないデジタルサービス専用のハードも登場している。ソニー・インタラクティブエンタテインメント、Microsoftは2020年11月、それぞれが開発・発売する次世代プラットフォーム・PlayStation 5、Xboxにおいて、そうした特徴を持つモデル「PlayStation 5 デジタル・エディション」「Xbox Series S」をリリースした。直近では、Steamプラットフォームに対応するダウンロード専用機「Steam Deck」も発売され、“携帯できるゲーミングPC”として話題を集めている。今後は任天堂やElectronic Arts(Originを運営)などに代表される他のプラットフォーマーたちも追随を見せるはずだ。
長期的には、さらに浸透していくと予測できるダウンロード購入やサブスクリプション・クラウドゲーミングだが、現時点でのサービスの利用実態と市場動向には、大きな乖離があると言わざるを得ない。まだ黎明期にあると考えられる後者にくらべ、すでに随分と身近になった前者であっても、4人に1人しか利用経験がないのだから、定着しているとは言い難い。そのような状況にあって、なぜプラットフォーマーたちは専用のハードを市場に送り込むのだろうか。そこにはユーザーを囲い込みたい彼らの思惑が見え隠れする。