任天堂とソニー、異なる「クラウドゲーミング」への向き合い方 話題集める『ペルソナ』新展開から考える
『ペルソナ』の新展開は、ゲームカルチャーの転換点となるか
また、業界全体に目を向けると、『P3P』『P4G』『P5R』リマスター版のサブスクリプションへの対応・クラウドゲーミング化は、大きな転換点となるかもしれない。現代のゲームカルチャーにおいてキーパーツとも言える人気シリーズの(リマスター版とはいえ)新作が定額サービスの対象となる流れは、これまで例がなかったのではないだろうか。
直近のトピックで言い換えれば、『クライシス コア ファイナルファンタジー7』のリマスター版『クライシス コア -ファイナルファンタジー7-リユニオン』や、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』などが、(加入者を対象に)無償で提供されるのとほぼ同義である。今後は『ペルソナ』シリーズに牽引され、同等のビッグタイトルが定額サービスの一部としてリリースされる動きも出てくるのかもしれない。
その先にあるのは、ハードを好みやソフトの対応状況、性能差ではなく、プラットフォームが展開するサービスの充実度で選ぶ時代だ。クラウドゲーミングが一般化すれば、(スマートフォンなどのモバイル端末まで含めた広い意味での)ゲーム機はインターネットを介して受信した映像を出力するだけの装置になる。これまでのゲームカルチャー史において、ことあるごとに展開されてきたハード間の勢力争いは消滅。現在、ブラウジングやYouTubeの閲覧をさまざまな端末からおこなうのと同様にゲームをプレイする未来が到来する。
2022年は、サブスクリプション・クラウドゲーミング元年となるだろうか。世間を騒がせた『ペルソナ』シリーズの最新動向。そこにはゲームカルチャーの5年、10年先が映し出されているような気がしてならない。