無料配布で再注目「バイオショック」は”テーマパーク”っぽい怖さが魅力 15年目を迎えた人気洋ゲーを振り返る
5月27日〜6月3日の期間中、Epic Gamesが運営する「Epic Games Store」にて、『BioShock: The Collection』(バイオショック コレクション)が無料配布されている。
『バイオショック コレクション』は、2016年9月に2Kが発売したFPS/RPGタイトル。2007年リリースの『バイオショック』に端を発する「バイオショック」シリーズ三部作をはじめ、有料DLC及び資料データ等も丸ごと収録したオールインワンパッケージだ。2022年でちょうど15周年を迎えた同シリーズを一本で堪能できるお得なタイトルと言える。
本稿では、『バイオショック コレクション』の無料配布を機に再び注目されているであろう「バイオショック」シリーズにフォーカス。第一作目のゲーム内容やシステム面の特色を踏まえつつ、同シリーズならではの魅力を振り返る。
古臭くも先進的な海底都市にご招待(ただし、狂人たちのエスコート付き)
シリーズ三部作の先陣に立った『バイオショック』のパッケージには、右手にドリルを装備した潜水スーツの人物が描かれている。このイラストだけを見た場合、本作は「強化スーツをまとって戦うSFモノ?」と勘違いするかもしれないが、実際はそうではなく、”無法地帯と化した海底都市へ迷い込んだ男の脱出劇”が主題。1960年代当時の科学技術を結集し、その古き良きテイストをそのまま爆発させた海底都市「ラプチャー」。そこに偶然迷い込んだ主人公「ジャック」が協力者「アトラス」の手を借り、奔走しながら生存を目指す……という内容である。作中の世界観を表すなら、“レトロフューチャー”という言葉がピッタリ。実際に体験したことが無くても、辺り一面に充満する“1960年代のアメリカ”感がひしひしと伝わってくるはずだ。
ラプチャー内のいたるところで「スプライサー」と呼ばれる狂人が出現するため、プレイヤーはゲーム中に手に入るピストルやロケットランチャーで彼らを撃退し、アトラスの指示通りに動いてさまざまな“お使い”をこなしていく。また、「ADAM」という薬剤を人体に投与することで、電流・発火・念動力といった超能力「プラスミド」が扱えるようになる。こうした各武器とプラスミドを組み合わせて多彩な戦闘アクションを繰り出し、各所で群がるスプライサーを蹴散らすことでゲームが進んでいく。
自我を忘れて暴走するスプライサーも十分に脅威だが、彼らを上回ると言っても過言ではない強さを誇るのが「ビッグダディ」。上述の『バイオショック』のパッケージに描かれた改造人間であり、プレイヤーの前に厄介な壁として立ちはだかる存在だ。危害を加えないと何もしてこないビッグダディだが、彼らに同行している少女「リトルシスター」に手を出すと態度が豹変。真紅の目を見開き、プレイヤーを滅せんと執拗に追いかけてくる。
本稿では詳細を省くものの、リトルシスターはゲームを進めるにあたって接触が避けられない重要キャラクター。ゆえにビッグダディとの遭遇もほぼ不可避なため、プレイヤーの出方次第では戦闘へ突入し、無慈悲なまでに叩きのめされることも少なくない。パッケージに描かれたインパクト抜群のフォルムも相まって、“バイオショックと言えばビッグダディ”というレベルの存在感を放っている。
ビッグダディの恐ろしさもさることながら、ラプチャー内には数多の狂人が欲望を満たすべく徘徊している。当初は理想郷と謳われていたものの、ゲーム開始時点ですでに荒廃が進行しているせいか、彼らはよそ者であるプレイヤーに対して文字通り牙を剥いてくる。仮装パーティーと殺人を履き違えた貴婦人、爆弾製造に命を捧げるサイコドクター等々、胃もたれするほど濃い面子が勢ぞろい。数少ない常人キャラクターもやはり思想がどこかズレていて、「とんでもない場所に迷い込んでしまった……」という気持ちを色んな意味で加速させる。