「ゆっくり茶番劇」商標登録に対するニコニコ動画側の見解は? ドワンゴから提示された4つのアクション

「ゆっくり茶番劇」に対するニコニコの見解

「ゆっくり茶番劇」商標登録は今、何が問題なのか?

 すでにTwitterでは柚葉氏の所属事務所を名乗るアカウントから、商標権を放棄すると行ったツイートもなされているが、実際のところ、Twitterの「柚葉氏」が本当の商標登録者なのか、所属事務所の見解を柚葉氏も承認しているのかも不透明な状況。そのような中だからこそ、現状について栗田氏は「前言撤回できる状態が続いてる」と認識しており、今後悪意ある第三者が金銭請求するケースを危惧しているという。

 こういった状況を踏まえ、ドワンゴが発表した今後のアクションは、次の4つだ。

 現在Twitterで商標権の放棄をするというツイートでの声明があることを踏まえ、まずは商標権の放棄交渉を行うという。もし、この交渉が決裂した場合に行うのが2つめの「商標登録に対する無効審判請求」とのこと。

 粟田氏は「『ゆっくり』系はあくまでジャンルで、特定の作品の商標ではないと考えている。さまざまなクリエイターがさまざまな作品を投稿してきた。特定の出生を指し示す単語ではない」と話した。

 また、現在はまだ具体的に被害相談がよせられているわけではないとのことだが、今後、悪意のある第三者による使用料請求などが行われるケースや今後再び柚葉氏から使用権請求が起きるケースも想定し、使用料を請求されてしまった方への相談窓口の設置も行う。この相談窓口の利用は無料で、相談内容により、警察や弁護士など適切な相談窓口につなげていく。

 そして最後に挙げたのは、「ゆっくり」系動画の用語をはじめとした「商標登録による独占の防止を目的とした商標登録出願」だ。一見、柚葉氏と同じようなことを行うのかと錯覚してしまいそうだが「権利を行使するために出願するわけではない」という。

 まずはジャンル・カテゴリ名として一般的な名前を商標登録。もし特許庁に拒絶されれば、誰も登録できないことが明らかになるとし、もし、登録できた場合についても「将来にわたり、権利を行使しない」と話す。

 今回の状況については、「クリエーターが安心して創作できる環境を害されていることを憂慮している」と粟田氏。だからこそ「すべての人が安心して創作できる環境を守っていきたい」と話していた。

スピード重視の対応。他動画サービスとの連携は未定

 問題が起きてから10日足らずで見解の発表や記者会見を行うなど、「東方Project」原作者ZUN氏や法律の専門家とも相談しながら、スピード重視で対応してきたドワンゴ。

 現在は1社単独でこれらのアクションを行っており、他のプラットフォームと足並みが揃っている状態ではないが、「一緒に検討していきたいというところがあれば、お声がけしていただければ」とも話していた。

 今回は多くの「ゆっくり」系動画を抱えるプラットフォーマーだからこそ、自身も訴えられる可能性のある当事者の一員として動いたと言うが、今後も頻発するであろうネット文化の著作権問題について、ドワンゴの動きがひとつのモデルケースとなっていくことには違いないだろう。

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