現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一社であるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。

　メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドで、アーティストとして日の目を見る者も増加している。

　ここ数回では「元二期生」のメンバーにスポットを当ててきた。今回はにじさんじのなかでも指折りのトリックスターとして数えられる文野環について紹介したい。

　猫耳が生え、茶髪のショートヘア、魚の形をしたヘアピン、フワっとした特徴的な声を持つ彼女。活動開始当初は「野良猫」の名前で活動していたが、ツイッターを通して行なったリスナーからの募集と投票を経て、現在使われている「文野環」に名前が決まった。

　あまりにも自由奔放・天衣無縫な言動に、苦労したにじさんじのタレント・スタッフ・その他VTuberは数知れず。何かしらの天啓が下ったかのような気まぐれな行動に、多くの者が驚き続けてきた。その一連の動きを、今回は配信動画とともにピックアップしてみよう。

・カルビーのTwitter公式キャンペーンに「にじさんじのスタッフさんやメンバーみんなと食べたい！」と応募し、2434袋分をゲットする。

・因幡はねるとのオフコラボ中、元二期生同期の剣持刀也の誕生日配信にそのまま出演する

・鷹宮リオン・因幡はねる・周防パトラとともにコラボ配信しながら「バレずにナンを作れるか？」に挑戦する

・元一期生の月ノ美兎・樋口楓の2名を前に、創作料理「罪」をごちそうする配信を実施。慣れ親しんだ2人ということもあり、いつも以上の天衣無縫ぶりを発揮して2人を困惑させつつ、リスナーに笑いを届ける

・古代の日本から伝わる幻の食品「蘇」を作ろうとするも、料理の手つきが覚束なく、しまいには火災報知器が爆音で鳴り響いてしまう

・新型コロナウィルスが蔓延し始めた2020年3月に「バーチャル卒業式」と称した配信をスタートするが、国歌斉唱中に顎が外れてしまい途中で配信を中止。数週後に再度「バーチャル卒業式 ～卒業おめでとう～」を配信すると、途中から少年革命家ゆたぼんが登場し、2人で配信を締めるというサプライズを披露。

 

　なにより驚かされるのは、配信時に使用するはずのLive2Dアプリをあまり使わず、立ち絵を置くだけの静止した画面で配信することが多かったことであろう。

　のちに彼女は「動かない自分からの卒業」という名目の配信をすることになるが、デビューから2年ほどは「動かない」ことが文野環の通常運転であった。

　パソコンや住居環境による影響、もともとゲーム配信を好まないなどの理由があったにせよ、ここ1年ほどでVTuberを知った人でもいかに「ありえない」かが伝わってくるだろう。