ライバーが“職業”になる時代。経営者ライバーたちが語るライブ配信の現在と未来
ライバーの収入が多様化される仕組みが必要
ーーライブ配信ならではのリアルタイム性やエンタメ性は、今後さらなる可能性を秘めています。おふたりが見据えるライバーの未来やクリエイターエコノミーの動向についてどのように描いているのか。最後に教えていただきたいなと思います。
すーさん:そうですね。ライブ配信が抱える課題として、アクティブにやらないとランクや報酬が維持できないこと。また、リスナーさんの応援量がそのままライバーの報酬を左右してしまうことです。自分の周りには、毎日評価されることに対して精神面で疲れてしまい、ライバーを辞めてしまったりYouTubeに移ってしまったりする人もいます。例えば、配信アーカイブに広告を付けて運営したりと、ライバーの収入の仕組みを変えていく必要があると思っています。配信しなくても、補助的にライバーの元に収益が還元されるようなシステムができれば、もっとライバー自身も活動しやすくなるし、職業として定着しやすいのではないでしょうか。
ーーライブ配信市場の未来は、やはり収益の柱が増やせるかが焦点になると。
須佐:最近では、Pococha内でも企業の商品PRイベントや音楽ダイヤ(対象楽曲を歌うライバーに、換金可能なダイヤとして還元する仕組み)なども出てきているので、少しずつ業界も変わってきています。企業側に「ライバーは生配信による商品販売や宣伝する力を持っている」と思ってもらえれば、ライバーにおけるクリエイターエコノミーの成長は、今後さらなる発展が期待できると思っています。
さあやん:須佐さんが言われたように、ストック収入がライブ配信にないことは良さでもあり、デメリットだと感じています。ライブだからこそ即興でパフォーマンスし、嘘偽りもなく振舞う。そこに、生で見てもらう価値があると思うんです。ただ、どうしてもライバーの収入源が偏ってしまうと、長時間に渡るライブ配信が常態化したり、ファンの方の熱量や代謝も悪くなったりしてしまう。今後は、企業の中の人としてライブ配信専用の職種として固定給をもらえるようになると、もっとライバーの可能性が広がると思います。また、ライバー業界の将来性が不透明なことも大きな課題だと感じています。私自身も3年後のビジョンが見えてなくて……。こうした状況があるなかで、私はプレイヤーを続けながら起業家として新しいロールモデルを作れるよう努力していきたいですね。
ーータイプが違いながらもライバーとして確固たる地位を築かれているおふたりですが、ここまでお互いのお話を聞いてみていかがでしたか?
須佐:さあやんさんは、パッションに溢れていますよね! ちなみにどのくらいライブ配信しているんですか?
さあやん:1ヶ月に250時間くらいはやっていますね。でも、プライベートを削ってでもライブ配信をしないと、淋しくなるというか。リスナーさんに会いたくなるんですよね。なので、寝ること以外は基本的にライブ配信や配信に関連するお仕事に取り組んでいます。
須佐:すごいなあ。自分の限界は1日4~5時間くらいかな。これでもライバーの方では短い方なんですよ。90分越えると声が出にくくなってしまうので、途中休憩を挟みながらやっていますね。
さあやん:まさに須佐さんって、男性ライバーのロールモデルというか。落ち着いて物事を考えられるメンタル面やビジネス視点を持っていて、さらには会社経営もしている。これからライバーを目指す人の模範になるような気がするんです。須佐さんのようなライバーが増えてくれば、もっとライブ配信業界も盛り上がるのかなと思います。