50年前の沖縄には何があった? 『クローズアップ現代 VR時空旅行→沖縄1972』で見たVRの魅力

50年前の沖縄をVRで再現

式典の日の「天気」まで細かく再現

 VR体験では、細川啓介チーフ・プロデューサー(第1制作センター(新領域))が取材陣を案内。オープニングで使われた那覇丸の船上からツアーが始まった。実際に参加した学生たちとは、チャットボックスや音声を使ってコミュニケーションをとったそうで、ツアー中もチャットを使ったクイズなども行われた。

アバターの操作はゲームのコントローラーで。拍手やジャンプなどのリアクションもとれるので楽しい。

 戦後最初に復興が始まったという農連市場を皮切りに、平和通りや歓楽街コザを巡った後、終着地点として案内されたのは、沖縄復帰記念式典が行われた那覇市民会館だ。式典の日は大雨だったとのことで、雨の様子もVR上で再現されていた。

写真ではわかりづらいが土砂降りの雨が降っている。

 この場所は今年取り壊し予定ということもあり、那覇市、沖縄国際大学、NHKが協力し、今後に残していくために360度撮影してモデリングしたという。さらに沖縄国際大学の学生たちは、このモデルを使って自分たちで調べた「復帰」について発信するためのプロジェクトも新しく動いている。

多くの女性が働く、雑然とした雰囲気の市場。当時の様子を忠実に再現している。

 また、VRの中では市場に落ちている葉や斜めに乱雑に駐車されているクルマなど細かなディテールまで再現されており、体験する側としても当時の雰囲気を感じることができた。

コザではライブハウスの見学も。番組では、当時からこの場所でライブをしているドラマーも登場する。

 語り部として登場した方は、1972年当時は20~30代で、現在は70~80代。よりお話に集中してもらうために、VR映像を見ながら取材を行ったとのことだが、落合洋介ディレクター(沖縄放送局)によると、この没入感の高さが「予想外の効果をもたらした」と言う。「当時にタイムトラベルしたかのように感じながら、お話をしてもらえました。こんなに話してくれるんだと驚きました」。

那覇市民会館では壇上にも上がることができた。当時を知る人たちがこの場で何を語るのか、番組をぜひチェック!

 当時の沖縄にタイムスリップしたかのような体験ができる今回のVR。写真や動画とは違う形で、歴史を知ることができる貴重なデータだからこそ、今後はどこか公的な場所で、このVRを体験してもらうことが出来ればとも考えているとのこと。

 でも、まずは番組で。5月18日までNHKプラスで配信中です。今とは異なる沖縄の雰囲気をぜひ体験してみて。

■番組情報
『クローズアップ現代 VR時空旅行→沖縄1972』
NHKプラスで5月18日(水)まで配信中
URL:https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/episode/te/394ZVJ2G69/
放送:2022年5月11日(水)NHK総合 夜7:30~8:45※45分拡大スペシャル
再放送:BS1 5月12日(木)17:25~18:10

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