『Nintendo Switch Sports』に集まる高評価。任天堂の体感型スポーツゲームが支持される理由

 4月29日、『Nintendo Switch Sports』がリリースを迎えた。

 2006年にWiiで発売され、大ヒットを記録した『Wii Sports』。その流れを汲む同タイトルに、さっそく高評価の声があがっている。

 任天堂の体感型スポーツゲームは、なぜこれほどまでに支持されるのだろうか。同社が確立したジャンル・シリーズの魅力と、『Nintendo Switch Sports』の可能性を考える。

8年半ぶりの任天堂『Sports』シリーズ最新作『Nintendo Switch Sports』

Nintendo Switch Sports 紹介映像

 『Nintendo Switch Sports』は、『Wii Sports』から続く任天堂『Sports』シリーズの第4作(リメイクを含む)。Nintendo Switch専用コントローラー「Joy-Con」を操作端末に、画面の前で実際に体を動かせる、体感型のスポーツゲームだ。

 収録されている競技は、バレーボール、バドミントン、ボウリング、サッカー、チャンバラ、テニスの6種類(2022年秋にゴルフが追加予定)。プレイヤーが「Joy-Con」を片手に各競技さながらの動きをすることで、画面上のキャラクターが反応する仕組みとなっている。オンライン対戦にも対応しているため、世界中のプレイヤーと実力を競うことも可能。勝つとゲージが上昇し、より上位のランクへと上がっていく。

 ゲームの性質上、Nintendo Switch Liteのみではプレイできず、据置型のNintendo Switchでも携帯モードでは遊べない。Nintendo Switch Proコントローラーにも対応していないため、プレイする場合は「Joy-Con」が必須となる。

 価格は、パッケージ版が税込5,478円、ダウンロード版が税込4,300円(※)。オンラインプレイ時には、Nintendo Switch Online(有料)への加入が必要だ。

※パッケージ版には、サッカー「シュート対決」に必要なレッグバンド(税込1,100円)が付属。ダウンロード版を選択した場合には、別途購入しなければならない。

『Nintendo Switch Sports』支持の理由は“プレイヤー目線の工夫”

 任天堂は過去にも、『Sports』シリーズ作品を筆頭に、実際に体を動かすスポーツゲームを複数発表し、それぞれがヒットへとつながっている。直近では2019年10月発売の『リングフィット アドベンチャー』も、全世界で約1,400万本(2021年12月末時点)を売り上げる大ヒットを記録した。なぜ任天堂発の体感型スポーツゲームは支持されるのか。その理由を紐解いていきたい。

Nintendo Switch Sports TVCM バレーボール

 最初に挙げておかなければならないのは、老若男女を問わず、誰でも楽しめるゲーム設計だ。たとえば『Sports』シリーズ作品は、基本的にコントローラーを振る操作のみで遊べる仕様であるため、不慣れなプレイヤーでも肩ひじを張らずにゲームに参加できる。このカジュアルな設計は、もちろん『Nintendo Switch Sports』にも踏襲されており、同タイトルでは、テニスなどの移動をともなう競技においても、プレイヤーがキャラクターの位置を合わせる必要がない。こうした点がライト層のプレイのハードルを下げているのは明白である。各作品が気軽に手に取れるタイトルとして幅広い層に支持される1番の理由だろう。

 一方で、コア層に向けては、オンライン対戦やランク制を採用することで、「ただ運動するだけ」というコンセプトからの脱却も果たしている。突き詰めて遊びたいプレイヤーは、さらなる上達を目指して、勝敗やランクの上下を意識できる。カジュアルに見えて、その先にはアクション、スポーツジャンルならではの競争も存在していることが、「さまざまな層が同じフィールドで戦う」という、シリーズ特有の面白さを演出しているのだ。

 また、没頭して長い時間遊んでしまうような工夫も施されている。1戦あたりの拘束時間が短い点だ。熱中するうち「もう1試合!もう1試合!」と長く遊んでしまった経験が、多くのプレイヤーにあるのではないだろうか。もし1戦が長い仕様であったならば、きっとこうしたのめり込みは生まれいなかったに違いない。これは、ジャンルこそ違うが、PS Plusで4月のフリープレイとなっていた『Slay the Spire』のそれと同質の中毒性であると言える。コンテンツそのものの面白さを前提に、随所にプレイヤー目線の工夫が盛り込まれていること。この点が任天堂の体感型スポーツゲームが広く支持される理由の根幹だ。

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