コロナ禍で医療従事者として尽力し、配信者としても成長を続けるVTuber・健屋花那の挑戦

 そんな健屋であるが、生配信でうかがい知れる彼女はここまで記したパブリックなイメージと違った姿が見えてくることも少なくない。

 復帰早々に早瀬走とともコラボ配信した内容は、「健屋の自室掃除を見守る」というもの。学業に加えてライバー活動もあるということで自室をほとんど掃除しないズボラな彼女のために、早瀬走が掃除を見守りながら実況していくという配信なのだが、あまりの汚さに冒頭からうなだれてしまう早瀬。

 もちろん自室の様子を配信上に乗っけることはできないわけだが、その後にも普通の家庭には出てこないであろう様々なゴミが部屋から出てきてしまい、絶叫に次ぐ絶叫。最後には疲れ切ってしまった早瀬の姿があった。以前から何度かお掃除配信をしてきた健屋ではあるが、その酷さがリアリティをもって伝わる配信となった。

【コラボ】いや、掃除しろ【早瀬走/健屋花那】

 演劇・声優に傾倒していたことに加えて、にじさんじの所属タレントということでご多分に漏れず、漫画・アニメ作品に深く精通している。先に述べたように夢小説を執筆し、どのようなものかをしっかりと理解していることからもお分かりのように、彼女の趣味はボーイズラブ/ガールズラブをテーマにした作品が大好きだ。

 作品内のカップリングについて、キャラクター一人ひとりの性格、キャラクターデザインに至るまで、さまざまなこだわりを持つ彼女、この点でも同期の早瀬とともにお互いの嗜好性を語ることもあるようだ。

 最後に記すのは、にじさんじで共に活動する白雪巴との関係についてだ。

 2019年12月24日に初コラボし、リスナーのコメントから「にじさんじ性癖コンビ」として名乗ることに。お互いの趣味・嗜好性が尖っている、両者ともにお芝居に対する熱量が高いなど、徐々に仲良くなっていくことに。

【百合セリフ掛け合い】ケーキと酒と百合さえあればクリぼっちなんて・・・とやさぐれていたらとんでもないことに【白雪 巴/にじさんじ】
【#Crossick】お芝居好きVtuberが声優になろうで遊んでみた【白雪巴×健屋花那/にじさんじ】

 2020年2月25日には白雪巴×健屋花那としてセルフ二次創作百合ボイスを販売、6月11日にはコラボユニット名を「Crossick」に。現在まで数度2人でのコラボボイスを発売しており、その本格的な内容に驚くファンも多い。

 2人コラボ「Crossick」では、「同性愛(百合)」「性的な表現」がおおく、2人のオフコラボ配信(実際に会ってコラボすること)では「キスをする」「胸を揉む」「お互いの体に噛み付く」などの、リアリティある愛情表現が数多く届けられてきた。

 リスナーからは「○○してください!」というが届いていたが、その大半がすでに完了していて、それ以上のことをしていた……ということを過去には答えていたほどだ。

 何よりこの2人の仲良さを表すのが、2人のオフコラボ配信が非常に多いという点にある。にじさんじに限らず多くのVTuberにとって「オフコラボ」というと、お互いのファンが相手を友好的に見ていなければ、配信中に心無いファンに荒らされたり、熱心なファンが離れてしまうきっかけにもなりかねなず、敬遠されることが少なくない。

 さらに2020年から現在まで続くコロナ禍の影響もあり、そもそも人と人とが対面して配信するということにも注意が必要になる。2人はそういったことにもしっかり注意しながら、文字通りに距離を詰めていくことになったのだ。

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 そんな2人ではあるが、2021年6月からの健屋の一時的な活動休止となったことで、半年以上に渡って2人のコラボはほとんどない状態となっている。最後に2人が並び立ったのは白雪巴の3Dお披露目配信が最後だ。

 復帰後にはファンからの要望が配信内外で目立ってきたことに関して、健屋は雑談配信内でこのように語ってもいる。

「1人のライバーとして成長できて、お互いが個々として成長できたタイミングで、Crossickとして配信するタイミングを話し合っていきたいと思っています。なので、ちょっとお待たせしてしまうかもしれないですね」

 ここまで書いてきたように、健屋は歌動画やシチュエーションボイス一つ一つを「作品」という形に仕上げたいというこだわりを強く持っているタイプ。それはもちろん日頃の生配信でも同じだろう。

 にじさんじ公式番組や『電音部』で大きく知名度を高めた健屋花那は、活動休止中に新しくファンになった方々に向けて、「生配信をしている健屋花那」をみてもらうことも重要にはなってくるはずだ。

 期せずして歩んでしまった道のりを経て、ブランク明けとなったいまの彼女には、証明しなくてはいけないことが山積みだ。だが彼女ならば難なくクリアしていき、リスナーやファンをより驚かせてくれるであろう。彼女の才覚はその可能性に満ち溢れている。

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