コロナ禍で医療従事者として尽力し、配信者としても成長を続けるVTuber・健屋花那の挑戦

 健屋花那のキャラクターを知るうえで、彼女が医療従事者であることは彼女を知る一つのファクターになるだろう。2020年3月10日の配信で、彼女はリスナーにこう語りかけた。

「心苦しいことに、バーチャルライバーが本職じゃないわけですよ、申し訳ないことに。健屋にとって患者さんってみんなだけじゃないんだよ。待ってる人たちが居るの、病院にね」

「配信は楽しいし、もっともっとみんなのことを楽しませたい。動画をもっと作ったり、歌を出したり、毎日スパチャとかを読んだりとかもしたい。でもどうしても無理なんだよね。医療従事者として未熟だから、もっと勉強しなくちゃいけないんですよ」

「高校1年に母方のおじいちゃんが亡くなる直前に、『その頭の良さを生かして、医療従事者として生きていけるだけの知識を身につけたらいい。とりあえず医療従事者として一人前になって、それから好きなことをやってみたらどうだ?』と」

「自分の病気や生死について関わるとき、自分の力で知りたいと思ったんだよね。親戚の人たちからも『こういうときに親戚に1人でも医療に詳しい人がいれば』なんて言ってたのを知っていたから、じゃあアタシがなるべきだと思った」

【雑談】コラボの振り返りとか近況とか【健屋花那/にじさんじ】

 この日の配信は深夜帯ということで普段よりもグっと小声で、なによりこの当時は活動半年を迎えるタイミングということもあり、自身の赤裸々な気持ちを切々と語った一夜となった。

 この約1年後の2021年6月から、健屋は資格取得のため試験勉強および受験のために、ソロ配信を休止することを発表した。

 にじさんじ公式番組出演も断続的にこなし、歌動画の投稿も継続、自身が出演する『電音部』関連イベントには折をみて関わるなど、自他ともに「休止とは……?」という活動ペースであったが、2021年年末からは試験に集中するとのことで各番組や作品にも顔を出さなくなり、Twitterの更新も一気に減少した。

 健屋花那としての活躍を求められるなかにあって、活動を最小限にとどめ、彼女は自分に課した夢・決意をしっかりと掴むため、いわゆる自己実現のために時間と余裕を選んだのだ。

 この判断はにじさんじファン・リスナーだけでなく、多くのVTuberファンにも大きな衝撃を与えたのは言うまでもなく、にじさんじを運営するANYCOLOR社を始めとする関連各社・スタッフの懐の深さを感じさせられた。

 2022年3月11日に復帰配信を果たし、久しぶりの配信では3Dの姿でカムバック、持ち前の活気と笑顔に溢れた姿を見せてくれた。その数日後には2年ぶりとなる新衣装を公開し、それまでの配信画面のデザインも一新するなど、半年近く待たせてしまったリスナーやファンとともに、リスタートの真っ只中にある。

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