『クロノ・クロス』リマスター収録で話題の『ラジカル・ドリーマーズ』とは? 奇跡の復活を遂げた、シリーズを繋ぐ名作ノベルゲーの魅力

選択肢で敵キャラクターとの戦闘を表現する、独特な戦闘システム

 本稿の最後に、『ラジカル・ドリーマーズ』が採用した独特な“戦闘システム”についても触れておきたい。本作はテキストを読み進めるサウンドノベルゲームだと述べたが、1996年当時の同ジャンルとしてはユニークな敵キャラクターとの戦闘がゲーム内に実装されていた。

YouTubeより

 具体的な戦闘方法は、「敵キャラクターとエンカウント→画面内に選択肢が出現→選んだ選択肢によって戦闘が進行」というもの。例えば「ゴブリン」と戦う場合、「(攻撃に合わせて)後方へ下がる」「(ゴブリンめがけて)ナイフを投げる」といった選択肢を選ぶ。選択肢が正解だった場合は敵にダメージが入り、逆に誤った答えだとプレイヤー自身がダメージを受ける。また、選択肢が表示されている間は時間が過ぎていくため、なにも選ばない場合でもダメージを受ける。よって、画面内のテキストを参照しつつ、最短で最適な選択肢を選ぶ必要があるというわけだ。

 このように細かく分解すればサウンドノベルゲームのシステムを応用したものに過ぎないが、それでも文字による戦闘シーン描写を“ゲーム的なもの”へアップグレードした点は今見ても関心を誘うのではないだろうか。

 26年前のサウンドノベルゲーム『ラジカル・ドリーマーズ』は、いまからでも抑えておくべき作品なのか? 筆者の答えはイエスだ。『クロノ・トリガー』や『クロノ・クロス』のリアルタイム世代はもちろん、リマスター版で『クロノ・クロス』に触れるユーザーも(余裕があれば)触れておいて損のない一作と言える。『ラジカル・ドリーマーズ』に内包されたエッセンスは、「クロノ」シリーズを読み解く上で重要な手がかりになるはずだ。

(メイン画像=任天堂HPより)

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