SNSで孤独感は和らぐのか? コロナ時代の居場所の在り方を識者に聞いた

SNSで孤独感は和らぐのか?

オンライン飲み会が盛り上がらない理由

――最近は“メタバース”が注目されていますが、SNS上の人付き合いとはどのような違いがありますか?

柿本:メタバースも多種多様ですから、一括りにすることは難しいです。しかし、アバターを使うところは共通のようなので、そうなると自らが創作した物語世界の別人格のような感覚が強くなるのではないでしょうか。それゆえ、独自の特徴をもつコミュニケーションが展開するようになるかも知れません。SNSでも匿名・ハンドルネームで利用する場合にはその傾向がありますが、メタバースではその傾向が増幅されるように思います。「視覚情報の質がどれくらい上がるか」「ほかの感覚情報がどの程度使えるようになるか」などによって、今後さらに変化するかもしれません。

――オンライン空間にオフラインのようなつながりを持たせることは可能でしょうか?

柿本:オンラインとオフラインは同じではありません。例えば、オンライン飲み会は、本物の飲み会の“熱量”を実現できていないですよね。熱量をもたらすのに必要なものとしては、体温、匂い、物理的な意味での距離感。また、注(つ)ぐ・注(つ)がれるといった物理的なやりとりなど、いろいろな要素があります。オンライン飲み会でこれらを求めるのは容易ではありません。

 しかし、オンラインには別のつながり方もあるし、オフラインと一体となった別の価値もあります。例えば、現在でも若者は普通にオンラインで情報を取得し、それをある程度信用し、互いに意見交換をし、グループワークなどもこなします。しかも、それをオンラインだけでやっているわけではなく、授業中に対面でやっていることの延長でもあります。「一部相互乗り入れ」という感じです。両者は一体となっており、完全に日常の一部です。ただし、これは社交上の活動というより、「課題中心」の活動での話しです。孤独感の問題に話を戻すなら、その「課題」の内容がどのようなものであるかによって、孤独感の持ち方は随分と変わってくることと思います。

(画像=Unsplashより)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる