香港の街に「QRコード」が大量発生した理由 第5派のコロナ対策が原因?

 香港ではコロナ対策の為に「安心出行(LeaveHomeSafe)」というスマートフォンの追跡アプリが使われている。

香港の街に溢れるQRコード

 安心出行は香港政府によってコロナ初期段階に開発されたものである。スマートフォンにダウンロードした専用アプリを使い 各施設の入り口に掲げられたQRコードをスキャンする事で、各場所への出入りの記録や個人の行動記録がアプリ内に蓄積されてゆく。

 陽性患者と接触があった際は同時刻にその場に居合わせた人々にアラートが入る。アラートメッセージを受け取った市民は、コロナ陽性者との濃厚接触者として、PCR検査を行う(自身での抗体検査も可)という仕組みになっている(感染者が物凄い勢いで増えていた短い期間は検査会場の逼迫した為一時期アラート機能が停止したが、現在はまた再開しているようである)。

 そしてこの安心出行は、日々進化を遂げている。現在はPCRや抗体検査の結果、またワクチン接種の記録もアプリ内に内録できるようになったことで、各種記録を簡単に持ち運ぶことができ、提示を求める場所でもすぐに確認ができるようになった。

 安心出行はコロナが始まった早い段階で導入されたが、導入直後から今までもアプリの使用を奨励されていたとはいえ、その利用については限られていた。スマートフォンを持ち合わせていない市民も存在したためだ。

 導入初期段階は、飲食店などの限られた場所でしか必須ではなく、店を利用する側は入店する時にアプリ以外でも店が用意をした記入用紙に名前や連絡先を書くという2通りからの選択ができたのだ。

 しかしゼロコロナを目指す香港は、感染拡大を抑える為に安心出行の徹底を強化。2021年11月には政府関係機関・郵便局・街市(地域になくてはならないウェットマーケット)などへ入る際にも、安心出行の利用が徹底される事となった。また12月からは全飲食店・ジム・美容院・テーマパークやカラオケ・映画館に於いてQRコードのスキャンが義務化された。

 それまでスマートフォンを持ち合わせない人々(主に高齢者など)も多く存在していたが、いよいよ生活の多くの場でアプリ利用が必要になるという事で、昨年秋ごろから街では格安の簡易スマートフォンを販売する小売店が急激に増えた。また高齢者へスマートフォンやアプリの利用方法を教える地域ボランティアなどの話を見聞きするようになってきた。

 このように生活をする上で多くの規則はあったが、努力の成果もあり市内起源の新規感染はなんとかゼロベースを保ってきていた香港だった。

 しかし、そんな香港でコロナのクラスターが発生し、感染が増え始めたのが2021年末のことだ。このクラスターが起因となり現在の第5波を迎えることとなった。

 この第5波は、今までにない莫大なダメージを与えている。

 日々の新規感染記録は更新され、2022年3月に入ると1日の新規感染者が5万人を突破することも。現在はピークから少しずつ減ってきている状態だが、まだまだ油断はできず長期戦となりそうだ。

 それに伴いピークを迎えた頃はPCR検査会場や隔離施設の不足、また病院で収容しきれない患者が廊下やロビーに溢れるという事態も起こり、社会問題に繋がったといっても過言ではない状況であった。

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