中国の「電磁砲」利用目的が明かされる? 国営軍事番組で発射シーンを初公開

中国「電磁砲」の利用目的とは?

 電磁力によって物体を投射する電磁砲、いわゆる「レールガン」はマンガやアニメ、ゲーム、小説などのSF作品に題材として多く用いられており、近未来の兵器というイメージを抱くが、その歴史は案外古く、19世紀の時点で兵器としての研究が始まっていたと言われている。

 20世紀後半から現代にかけては特にその研究が進んでいるものの、巨大な電源装置を必要とするなどの制約によって、火器に代わる兵器としての実用化は実現していない。現在では宇宙兵器のほか、軍事以外の様々な分野への応用が模索されているようだ。

 そんな中、中国国営の中央テレビ(CCTV)が先日放送した軍事番組の中で、中国産の電磁砲を実際に発射する試験の映像が始めて公開された。電磁砲には砲管に沿って設置された電磁石のコイルによって生じた磁力で弾を発射するコイルガンと、レールと弾の間に地場を発生させて弾を発射するレールガンにに大きく分けられ、今回紹介されたのはコイルガンだという。1930年代に米国で固定式のコイルガンが発明され、マシンガンと同じような利用が期待されたものの、結局軍事的な技術として注目を集めることはなかったようだ。

 映像では広い平原に停まっている1台の黄色い特殊車両の荷台に搭載された赤いボディの電磁砲発射装置が見えており、装置自体は非常にコンパクトで、円筒形の発射口もかなり小さいように見える。また発射口の上部はボックスのような形になっており、そこに各種の光学センサーなどが搭載されているようだ。発射装置は回転したり、発射角度を調節したりすることができ、黄色い車両が搭載している大きな電源装置から発射に必要な電力が供給されるとのことである。

 番組の説明によれば、電磁砲を発射する際には火薬を必要としないため、発射時の爆音や発光もないという。実際に発射を行う映像では、先頭部が尖った金属製の円柱形の物体が発射されており、姿勢を安定させるための小さな尾翼も付いていた。また、円筒形の物体の後からは黒い円柱形の小さな物体も発射されており、これは発射口内で用いられる推進装置のようだ。

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