バリキャリ女子が“結婚したくない男”を落とせない理由 『結婚してとうるさくて』で描かれるアラサーの受難

「ハイスペ男子」は、論破じゃ動かない……自分を守る「プライド」が裏目に

 知也の方も、梨沙子に対しては一目置いているような節もある。デート中、2人は「結婚」をテーマにディベートを始める。頭がいい、自立しているというリスペクトがあるからこそ、結婚というキーワードが出ても、まりえの時のようにただ流したりするのではなく、話し合いにはきちんと応じる知也。

 結局、デート中は「どうしても結婚したくない」知也を説得するほどのメリットを突きつけ ることができなかった梨沙子。しかし、結婚というワードに過敏に嫌悪を持ってしまう知也を、話し合いの場に引きずり込めたのはある意味すごいことだ。でも梨沙子のコミュニケーションは、まりえとは全く別の方向に逸れはじめてしまう。

 デート後、ホテルに向かうタクシーの中で再度結婚トークを持ち出す梨沙子。そこから彼女はなぜか、知也に対して「大論破」を始めてしまう。知也の発言を録音してまで、発言の揚げ足を取って意見を正当化しようとする梨沙子。しかし、知也もバカではない。頭の悪い男性だったら、ここで言いくるめることもできたのかもしれないが……同じく「バリキャリハイスペ」である知也のような男性は、論破なんかで自分の意見を変えてはくれない。

 冒頭、梨沙子は「結婚したくない男性は性格が悪い」とも言った。心のどこかで、知也のこじれた部分に気づいていたのかもしれない。そんな知也に対して、論破で結婚を迫った梨沙子は、結局知也に結婚を選択させることはできなかった。

 梨沙子が1人でも強く働いていけるのは、バリキャリゆえのプライドもあるだろう。しかしそのプライドの高さが、恋愛では裏目に出てしまった。自身を守ろうとするプライドは時に人を傷つけるし、選択ミスを誘発させることもある。

 プライドを持ち続ける限り、梨沙子はまた「こじらせハイスペ男子」を引き当ててしまう可能性も高い。これも、バリキャリ女子の受難なのだ。モテるけどこじらせな知也のような男は、一体どんな女性となら結婚を考えることができるのだろうか……。

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