佐久間宣行が語る、テレビとYouTubeの違い 自身が出演する理由は「そんなプロデューサーいないから」

佐久間宣行が語る“テレビとYouTube”

「やれるだけやってみて、ダメだってなったら『早隠居』してもいいかな」

——YouTubeは、うさん臭いものだと思われている時期もありましたが、いまでは芸能人も続々と参入していて、空気が変わっているような気がします。佐久間さんはいまのYouTube市場はどういうものだと思っていますか?

佐久間:みんなにウケるものに関してはアングラじゃなくなってきているかな、とは思いますね。でも、相変わらずYouTubeで本当に強いのは、YouTubeでしか観られない人だと思います。テレビにほとんど出てない、YouTubeが本気の皆さん。芸能人でも、江頭(2:50)さんとか宮迫(博之)さんとか梶原(雄太[カジサック])とか、YouTubeに本腰入れていて、YouTubeじゃないと観られない人の方が結果出してますよね。たぶんそういう世界なんだと思います。戦略のひとつとしてYouTubeもやってる、という人たちはあんまり愛されないのは感じています。

 だから、それを飛び越えて結果を出している霜降り明星や、かまいたちはちょっと別格で、ジャニーズとか指原(莉乃)さんも本当のスターだから別格で、それ以外に関してはYouTubeじゃないと観られないというのがないと、あんまり応援されないんですよね。

——YouTubeに関して今後の方針はありますか?

佐久間宣行

佐久間:来年か今年度いっぱいまではいまの形式でやってみて、その上で今後のことを考えようかなと思っているんですよね。僕のいまの仕事量だと週2本が限界なんですけど、個人的な企画を増やして週2本でやるべきなのか、週1本でテレビ番組みたいなことをやるべきなのか、というのをちょっと悩んでいます。

 僕はお笑いがとにかく好きですけど、映画とか音楽とかエンタメとか食事とか、自分の興味があるそういうジャンルはまだYouTubeでは出してないので、それもやるかどうかですかね。

——ちなみに、佐久間さんはもともとテレビ局員だったわけですが、現在はラジオ、YouTube、Netflixなど、いろいろな媒体でお仕事をされているじゃないですか。そのなかで、テレビというメディアに対する特別な思いや愛着のようなものはあるんですか?

佐久間:視聴者というか個人としては、テレビも配信イベントも演劇もライブも全部同じくらいの感覚の人間なんですけど、作る側としてはテレビでしかできない“祭り”みたいなものを作りたいという気持ちはあるかな。生放送のどでかい番組みたいなのはテレビ東京ではなかなかできなくて、フジテレビとかTBSでしか作っていないイメージがあるんですけど、そういうのが本当はテレビの醍醐味なんじゃないかなと思うんですよね。そういうものにはずっと憧れがあります。

——以前、佐久間さんは「50代になったら新しいことをやりたい」という話をされていたそうですが、今後のご自分のキャリアについてはどういうふうに考えていますか?

佐久間宣行

佐久間:40代の後半については、いまのところ何も考えていないですね。5年前にはこういう変わった仕事ばかりするタイプの人間だと思っていなかったですからね。僕はとにかくめちゃくちゃネガティブシミュレーションをして、石橋を叩いてから渡るタイプだったので、会社を辞めているなんて思っていませんでした。

——会社を辞めることもですか?

佐久間:全く思ってなかったです。40代の後半はほかの部署へ行って、空いた時間はやれていないゲームや映画や音楽など、好きなものを楽しもうと思っていたんです。でも、思いついたことをまだやらせていただけるチャンスがあるなら、やれるだけやってみて、ダメだってなったら「早隠居」してもいいかな、というふうに思っていますね。

——会社も辞めるつもりはなかったのに辞めてしまっているわけだから、こうなった以上は今後どうなっているかもわからない、という感じなんでしょうか。

佐久間宣行

佐久間:そうですね。ただ、常に新しいことを準備していかないと4〜5年後に面白い仕事ができないな、というのはこれまでの経験上思ってるんです。

 いま、ラジオをやったり、舞台の演出をやったりすることができるのは、やっぱり30代ぐらいにみんな忙しくてあまりエンタメとかを観ていない時期に、僕だけは好きでそういうのをずっと観ていたからなんです。『ウレロ』(『ウレロ☆未確認少女』から始まる一連のシチュエーション・コメディシリーズ)みたいな手間のかかる番組は作らなくてもうよかったんだけど、そういうのを作ったりしてきた経験がここになって生きている。

 だから、これから新しい芸人と仕事をしたり、もしかしたらお笑い以外のジャンルの人と組んで何かをやったりするかもしれない。そういうことっていまやらなくても別にいいんだけど、やっておいたほうが4〜5年後に面白い仕事ができるかな、という感じですね。そのための種になるようなことはやっていきたいです。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「連載」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる