『あつまれ どうぶつの森』ver. 2.0に感じた、任天堂の「遊ばれ続ける」ための巧みな戦略

『あつ森』ver. 2.0の「遊ばれ続ける」戦略

 そしてamiiboの遊び方の幅が広がったことにはさらに別の意義がある。そもそもamiiboのようにフィギュアとビデオゲームをクロスオーバーさせるかたちで楽しむジャンルは欧米圏では「Toys to life」と呼ばれ一般に定着していたが、日本ではamiibo以前にそうした市場はあまり確立されていなかった。そこで国内にも「Toys to life」の娯楽を普及させようと目論んだのが故・岩田聡元任天堂取締役社長である(※6)。

 岩田は「カード型の『amiibo』も今後販売するというお話をしましたが、これはカード型にすることで納期を短くしたり、コストを下げたりすることによって、「『amiibo』の遊びというのをまた違う方向に広げられないか」と考えてのことで」(※7)とも述べていたが、カード型のamiiboはまさに「どうぶつの森」シリーズで展開されているジャンルである。

 「amiiboの遊び」が「違う方向」に広がることは、そのゲームの魅力を拡張するとともに、岩田聡の戦略を継承することでもあったのだ。「キャラクターとの戯れ」と「Toys to life」の精神を同時に実現させ、それが継続プレイのきっかけを作っている、というのがver. 2.0のアップデートにおける“すごさ”の正体なのかもしれない。

[1] 16体の新住民を含む51の新機能が追加され、もはや「別ゲー」レベルのボリュームだと話題になった。
[2] 今作から追加された新機能で、舞台である無人島の地形やインフラを好きなように作り替えることができる。
[3] 井上明人×水口哲也「ゲームとゲーミフィケーションのあいだで:〈人間と情報〉の関係はいかに更新されてきたか」(第二次惑星開発委員会「特集:21世紀の「原理」──ソーシャルメディア・ゲーミフィケーション・拡張現実」『PLANETS vol.8』 2012)
[4] ハトを模した人気キャラクター「マスター」の経営するき喫茶店で、シリーズおなじみの施設。
[5] 任天堂キャラクターをフィギュア化/カード化した商品で、ハード本体にかざすことでそのキャラクターをゲーム内に登場させ遊ぶことができる。
[6]「2015年2月17日(火)2015年3月期 第3四半期決算説明会 - 質疑応答」
[7] 前掲

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