早すぎた次世代機進出。『ロックマン8 メタルヒーローズ』発売25周年で考える、シリーズ展開のいま
ロックマンはどのゲーム機でも遊べる作品へと変わった
そんな歴史の繰り返しこそあったが、2009年発売の『ロックマン9 野望の復活!!』にて、シリーズはひとつのゲーム機に縛られない方向性を暫定的ながら確立。2016年発売の『ロックマン クラシックスコレクション』でそれは決定的になり、2018年発売の『ロックマン11 運命の歯車!!』は、現行のゲーム機全てに発売される形になった。
「完全新作を楽しんでもらうためには、過去作品も合せて同じ機種で遊べるべき」
これは『ロックマン11』の発表が行われた動画(4分36秒以降)にて表示されたテロップだが、この言葉通り、現在のロックマンはすべてのゲーム機へと展開されるシリーズとなり、『ロックマン8』の時のような遊べない人を出さない取り組みを厳守している。
2020年にもゲームボーイアドバンス、ニンテンドーDS向けに発売された『ロックマンゼロ』と『ロックマンゼクス』のコレクション(『ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション』が発売されたが、原作が任天堂のゲーム機で発売されたタイトルという背景に構わず、PlayStation 4やXbox Oneといったゲーム機にも展開されている。このひとつのゲーム機に決して縛られないことこそが、今後のロックマンが掲げる方針なのだろう。
『ロックマン8』発売当時に苦い思いをした筆者からすれば、「あの時もそうだったのなら……」との思いもあるが、脱落者を出さないための取り組みは大変素晴らしいものであると同時に、これほど「いい時代になった!」と声高に言えることもない。
今後もロックマンはまだ現行機で展開されていない過去作の復刻、新作などの展開が行われていくのだろうが、ぜひ今後も全てのゲーム機に展開され、どれかひとつを持っていれば遊べるゲームとして末永く続いてくれることを願うばかりだ。
もう、二度と『ロックマン8』のような悲しい思いをするファンを出さないで欲しい。
また2021年現在、『ロックマン8』は『ロックマン クラシックス コレクション 2』を通し、現行のゲーム機で遊べる作品になっている。1996年のオリジナル版当時、実現するのは不可能に等しかった任天堂のゲーム機(Nintendo Switch)でも遊ぶことが可能だ。
いま遊ぶと、前後半の構成にしたことによるステージ進行のテンポの悪さなど、気になる箇所も相応にある。『ロックマン クラシックス コレクション 2』に収録されているのがPlayStation版で、独自要素を備えていたセガサターン版でないのも惜しまれる。
ただ、当時の次世代機の力を活かした映像と演出の派手さは今なお色褪せない。ボスから得られた「特殊武器」の積極的な活用を促す巧みな調整、隠された「ネジ」を探し出す探索の面白さと、それによって得られるパーツで自分好みの性能を持ったロックマンが作れる楽しさも唯一無二だ。声優の故・青野武氏演じるDr.ワイリーも色褪せぬハマりぶりである。
当時、発売されたゲーム機の事情で遊べなかった人も、あえてこの機会に遊んでみるのも一興。先走った過去を持ちながら、次世代機ならではの迫力が備わったロックマンを改めて堪能してみよう。
なお、『ロックマン8』は主題歌「ELECTRICAL COMMUNICATION」も根強い人気を誇る作品。『ロックマン クラシックス コレクション 2』ではゲームを起動するとタイトル画面へと即座に移行してしまう仕様だが、そのままコントローラに何も触れず、放置しておくとオープニングムービー及び主題歌が流れるようになっている。
最初にそれを聴いて(見て)からゲームを始めたい方はぜひ、実践のほどを。