『会社は学校じゃねぇんだよ 新世代逆襲編』祐介(野村周平)が鉄平(三浦翔平)にした“最高の復讐”とは

『会社は学校じゃねぇんだよ 新世代逆襲編』最終話

 「PARKS」の先着100万人無料キャンペーンが功を奏して、祐介(野村周平)は“成功者”と呼ばれるようになった。『会社は学校じゃねぇんだよ 新世代逆襲編』(ABEMA)がスタートした時には、想像もつかなかった未来が訪れている。何もかも失い、絶望の淵に立たされたあの時。普通の人ならば、諦めていたかもしれない。だが、祐介は踏ん張った。どんなに苦しい選択を強いられても、決して逃げずに向き合って。そしていま、「すべてを失って、底辺まで落ちたからこそ見える空があった」と“あの日々”に感謝できるところまで辿り着いたのだ。

 「最悪な出来事でも、すべて意味があったんです」。祐介は鉄平(三浦翔平)の前で、そう言い放った。思い返せば、鉄平は祐介に数々の試練を与えてきた存在だ。D2C事業を始める祐介のために出資してくれたかと思えば、サイファークリエーションでも、D2C事業を扱う子会社を立ち上げると言い出す。しかも、その子会社の社長に就任したのが、祐介の恋人の智美(藤井夏恋)だ。観ているこちらまで、どうしてわざわざそんなことを……と苦しくなるような困難の連続。だが、「(試練を与えてくれて)ありがとうございました」と言えたことが、最高の復讐になったのではないだろうか。

 しかし、鉄平が祐介に試練を与えたのは、期待してきたからこそのこと。FIND VALUEを立ち上げたばかりの祐介は、とにかく自信家だった。起業したばかりなのに、孫正義とビル・ゲイツをライバルだと言い、自分を特別な人間だと信じてやまない。そんな彼の自信たっぷりなところは、ベンチャー企業の社長としては魅力的な部分でもある。

 だが、祐介は失敗を知らなかった。どん底まで落ちたことがなかったのだ。鉄平は、彼の才能にいち早く気付いていたのだと思う。だからこそ、唯一の弱点を克服させた。“負け”を経験させてあげることが、鉄平からの遠回しの愛情だったのではないだろうか。実際に、祐介が会社を畳むことを考えるまで追い詰められた時には、「お前は、当たり前でいいのか?」と救いの手を差し伸べて、鼓舞した。

 鉄平にとって祐介は、“あの頃”の自分を想起させる存在だった。だからこそ、“あの頃”の自分が求めていた大人に、なろうとしていたのかもしれない。甘やかすだけではなく、社会の厳しさを教えてくれる存在。そして、どん底まで落ちた時には、手を差し伸べてくれるような。祐介は、鉄平がそんな大人であり続けてくれたからこそ、ここまでやって来られたのだと思う。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる