パンダ「（Sasukeは）自分を曲げないところが原動力なのかな」

ーーちなみに、パンダさんはSasukeさんに誘われたとき、どんな心境でしたか？

パンダ：Sasukeも言っていたように、会社で動画編集をしていて、主に企業のYouTubeチャンネルで、編集も撮影もやっていたんですよね。そして、仕事の内容が重なるなら、やっぱり辛いときも一緒に頑張ってきたSasukeと一緒になりたいなと。自分の力を本気で注ぐならそっちのほうが絶対に面白いし、また芸人と仕事がしたいなという願望もありましたし。

ーーまた別の形で夢を追いかけようと。

パンダ：そういう思いはありましたね。

ーー実際にパンダさんが加入してから、プリッとChannelはさらに伸びていったという印象があります。

Sasuke：そうですね。（2019年2月に）世直し、娘_、パンダさんの3人が正式に新メンバーになって、バラエティ番組っぽくなって。自分としてはそっちの方向を目指していたので、本当に感謝感謝ですよ。最初のころは本当に朝から晩までやっていたし、そうとうストレスをかけてしまっていた部分もあって。

パンダ：プレッシャーはありましたね。芸人のときと同じでライバルはたくさんいるし、他のチャンネルより早くいい企画をやらなければいけなくて、お笑いの賞レースをずっと戦っているような感覚だというか。それに、テレビとはまた違って、裏方も兼ねなければいけないですからね。大食いをして、そのあと編集して。撮影中はプレイヤーでありつつ、ディレクターの視点も持って、その後の編集も考えながら進めなければいけないから大変なんです。

ーーそれはYouTubeへの参入に際して、多くのタレントさんが言われることですね。演者であり、作家であり、編集者であり、というマルチな能力を要求されると。

パンダ：そうなんです。あとはYouTubeは「関連動画」に入ると一番流入が伸びるので、流行っていることを真似する、というのも大事で、最初はそれに抵抗があって。特に芸人は、人に真似できない面白さを表現したいと思うから、プライドを捨てなければいけなくて。それでも、とりあえず動画を見てもらえないことには始まらないから、開き直っていきました。

Sasuke：僕は最初の動画からプライドを捨ててやる、と決めていて、一発目から水溜りボンドさんの動画を丸パクリしたんですよ（笑）。たぶん、そのときは「同じ企画なら負けない！」と思っていて。でも、それだけだと全然再生回数が上がらず、とにかく日々勉強だなと思ってやってきましたね。

パンダ：なりふり構わずやっていく、という意味では、入ってすぐにめちゃくちゃ衝撃を受けたことがあったんですよ。スキー場で、学生服でリアルフォートナイトをやる、という企画があったんですけど、周りからものすごい目で見られるんですよ。テレビのようにたくさんスタッフさんがいれば、何かの撮影かな、と思われるけれど、みんな怪訝な目で見ていて。そこで「恥ずかしいな……」と思っていたら、前からセーラー服を着たSasukeが胸を張って歩いてきて（笑）。これがYouTubeなんだな、と思ったことをすごく覚えています。

Sasuke：「これが伸びるんだよ！」なんて言いながら。こういうインタビューのときに話してもらうためにやりました（笑）。

ーーはははは（笑）。でもパンダさんは、そこでYouTuber魂のようなものを感じて、さらにのめり込んでいったわけですね。

Sasuke：でも、もともとパンダさんはYouTubeに向いていて、しかもグループにいると本当にありがたいタイプなんですよ。同じような体型でも、おだんごはものぐさで動かないのに、パンダさんは機材を自分で運んだり、雑用的なこともテキパキこなすし、本当によく動くんですよね。芸歴で言えば一番先輩だから、そうすると全員が自然に「やらなきゃ」と思うじゃないですか。僕はけっこう「やっといて！」って言っちゃうタイプなんですけど、パンダさんは後輩に指示を出して自分は動かない、みたいなところが全然なくて。しょーちゃんなんかも、たぶんパンダさんのそういう姿を見て変わっていったところがあるんじゃないかな。

パンダ：それは会社で映像制作をするなかで鍛えられたところかもしれないですね。出演者を迎え入れるために朝早くから準備をして、それは大変なんですけど、いい動画が取れたときは本当に楽しくて。だから機材にも詳しくなったし、やれることはしっかりやろう、と思うようになったというか。あの時期がなかったら、ぐうたらで生きていたと思いますよ。

ーー裏方の気持ちもよくわかっていたと。それはYouTubeにおいて強みになっていますね。

Sasuke：本当に助かってますよ。機材とか撮影の面でもそうですし、パンダさんはメンバー間の潤滑油というか、クッションにもなってくれていて。例えば、芸人の時からあごキングと僕が意見をぶつけ合うことがけっこうあって、そうするとお互い譲らずに、話が堂々巡りになるんですよ。そのときに、パンダさんに意見を聞くことで納得して終われるというか。だいたい「あごキングの方が悪い」って言ってくれますし……。

パンダ：そんなことないだろ！（笑）

Sasuke：あと、芸人時代だったらなかったことで、パンダさんがたまに本当にキレるときがあるんですよ。もう「後輩だし……」みたいに気を使われなくなったんだと思うと、それがうれしくて。

ーーちなみに、パンダさんはどんなことでマジギレするんですか？

Sasuke：最近でいうと、パンダさんとあごキングの間で企画の話をしていて、お互いに譲り合わないことがあったんですよ。もちろん、パンダさんはそこで怒ることはなくて、むしろ折れて、あごキングの意見で進めよう、という話になったんですよね。で、翌日に僕がその企画を聞いて、「いや、もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない？」とあごキングに言ったら、「まあそうか」って、すぐに折れたんですよ。そこでパンダさんが「戦えよ！　昨日話した意味がないだろ！」って、めちゃくちゃキレて（笑）。

パンダ：はははは（笑）。だって、ひどいでしょ？

Sasuke：もう、こっちはニヤニヤが止まらなかったですよ。で、詳しく聞いてみると、あごキングの案にも問題があるけど、パンダさんが出した案もちょっと問題があるなと（笑）。結局間を取ることになって、良い企画になりましたけどね。そういう言い合いに関しては、あった方がいいと思ってます。

ーーちなみに、2人での一番の思い出はどんなことですか？

Sasuke：考えてみると、パンダさんと2人で出かけたことってほとんどないですよね。

パンダ：星野源さんのライブに行ったくらいかな。

Sasuke：思い出といえばやっぱり芸人時代ですよね。グループコントで、1カ月以上毎日、深夜まで稽古して。どれだけやっても成果が出るかわからないなかで、ほとんど睡眠も取らずにがむしゃらに頑張っていたあの時期は、一番印象に残っているというか。

パンダ：そうだね。深夜0時から朝まで稽古をして、7時くらいに帰る毎日で。よく覚えているのが、稽古終わりに「先輩だからおごるよ」って、Sasukeをミスタードーナツに連れていったんですけど、買ってあげたドーナツをカバンにしまって、「またお腹が空いたら食べます」って持ち帰ったんですよ。

Sasuke：礼儀としては、おごってもらったものはその場で食べるんですよね。

パンダ：そのセコさですよね（笑）。自販機で先輩に買ってもらったジュースも「あとで飲みます」って持って帰るし、そういう合理的なところというか、自分を曲げないところが原動力なのかなって。

Sasuke：パンダさんはよくわかっていて、僕の誕生日に稽古があったとき、先輩やスタッフさんから何かもらえるかもしれないと思って、「今日、自分誕生日なんです！」ってアピールしたんですよ。でも、みんな稽古に忙しいから忘れられちゃって、そのなかで、ネタ見せのあとにパンダさんだけ戻ってきて、しかも5000円のQUOカードをくれたんですよ！　

ーー自由に使える、うれしいプレゼントですね（笑）。

パンダ：まあそんなこともあって、吉本を辞めてからはネットでしか繋がっていなかったけれど、ずっと注目はしていたんです。テレビにも出ていたし、「頑張ってるな」って。

Sasuke：当時の記憶が薄れていっちゃうのは、ちょっと悔しいですね。

ーーやっぱり芸人時代に経験されたことは大きいんですね。

Sasuke：大きいですね。パンダさんは芸人時代、本当に面白かったんですよ（笑）。いまはいじられてツッコむ、という感じになっているので、それも面白いんですけど、もっとパンダさんの力をうまく引き出せたらいいなと思います。