連載:それは、TikTokからはじまる。(第三回)
「分かってないよ」がTikTokからバイラルヒット WurtSに聞く、研究者・音楽家として発信したい“社会問題”
「The 1975のように、社会問題と音楽を混ぜて発信していきたい」
——10月27日には「ブルーベリーハニー」も配信リリースされましたが、この曲についてはどうでしょう? いろんなタイアップで世に名前が広まっていく一方で、この曲はあくまでTikTok内でオリジナル曲として発表したのが最初ですよね。このあたりの位置づけは?
WurtS:下半期になっていろいろやって、ちょっとオルタナが不足してるな、と(笑)。「分かってないよ」で好きになった人に向けても「WurtSっぽい」と言われるような曲も聴かせてあげたいと考えて。それで「分かってないよ」と同じ方法で、出し方や見せ方についてもTikTokから始めようと思って作った曲です。ちなみに「ブルーベリーハニー」は、「分かってないよ」の逆にあたるコード進行を使ってるんです。歌詞も失恋のイメージがある「分かってないよ」と対比するように、「ブルーベリーハニー」はラブラブな様子を描いたものになっていて。TikTokの人たちが男女で作った動画に乗せるような音楽を想像しながら作りました。
――いま話していただいたようなマーケティングの視点とクリエイティブの視点のバランスって、どんな感じなんでしょうか。二つの視点が切り替わるポイントはありますか?
WurtS:音楽家と研究家との二つの視点については、まず音楽を純粋に作るというところがあります。売れる音楽の要素みたいなものを突き詰めて作るというよりは、音楽を純粋に作りたい。でもそれをいろんな方に聴いてもらいたいというところからの研究者で。音楽は音楽家が自由に作って、それを広げていくことはマーケティングの研究者に任せますみたいな形で作っている。入り混じるというよりは、二つがちゃんとあるという感じです。
——最初の話のなかで、いまは海外のヒップホップも追いかけて聴いているというようなことも言ってましたが、ここ最近で気になったアーティストや曲は?
WurtS:個人的にいいなと思ってるのは“レイジ・ビート”ですね。いま海外で流行りはじめていて、新しい流れを感じます。
——たとえばLil Nas Xについてはどうでしょう? 彼もTikTokをきっかけに「Old Town Road」がバイラルヒットしたことで世に出た人ですが、それで得た知名度をもとに、挑戦的で、かつ境界線を広げるようなクリエイティブをしていると思うんですけれど。
WurtS:すごくいろんなことを考えてる方だなと思います。ヒップホップをやってる方はもれなくだと思うのですが、いまの時代に活躍してる方って、セルフマネジメントをわかっていて、セルフプロデュース力がある。自分の見せ方をわかってるというのがあって、そこは参考にしたいと思います。
——レディー・ガガやThe 1975が憧れという話もありましたが、たとえばWurtSさんと同世代の海外のアーティストを見ても、音楽活動を通して社会に対しての課題に取り組んだり、メッセージ性を持った表現をしている人は多いと思います。そのあたりはどう見ていますか?
WurtS:僕のなかでは、日本のアーティストの方は音楽をお金から切り離したいという感じの方が多いと思うんですけれど、海外のアーティストはお金を稼ぐことに対して、日本の方とちょっと違う考えを持っているように思っていて。僕は単にお金を稼ぎたいという考え方ではないんですけど、いろんな人に拡散されたいというのはあって、そのなかにメッセージがあるという考え方です。The 1975のように、社会問題と音楽を混ぜて発信していきたいというのがあります。
——特に関心の強い社会問題や課題の領域は?
WurtS:僕自身、社会学を学んでるということもあって、貧困問題には一番関心があります。ただ、自分がどういうことをしようか、できるか迷っているところはあって。例えば何かに寄付をすることは素晴らしいと思いますが、一過性で終わらないようにしたい。まだ漠然としてるんですが、最終的な目標としては、音楽によって得た収益を継続的に支援できるようにしたい。そういう新しい形みたいなことも考えています。
■TikTok新CM『The Power of LIKE』篇概要
放送開始日:2021年10月23日
『The Power of LIKE』篇出演者:成田凌、小日向文世
キャンペーン公式TikTokアカウント
TikTok Japan【公式】Twitterアカウント