ゴッホやクリムトの“訳あり名画”をあしらった、高級時計ジャガー・ルクルトの限定モデルが登場

 スイスの高級時計ブランド、ジャガー・ルクルトは、パリで行われている展示会にて、ゴッホやクリムトらの名画をあしらった各限定10個の「レベルソ・トリビュート・エナメル・ヒドゥン・トレジャーズ」を公開した。

Jaeger-LeCoultreより

 同ブランドを代表する「レベルソ」シリーズは、ラテン語で「反転する」の意味通り、文字盤をスライドさせて裏表を切り替えることができる設計だ。今回披露された限定モデルには、文字盤の反対側にギュスターヴ・クールベ、フィンセント・ファン・ゴッホ、グスタフ・クリムトの名画が再現されている。選ばれた3つの作品は、偽物疑惑や盗難の被害に遭った“訳あり絵画”だ。

 クールベの『レマン湖の眺め(1876)』は、スイスのジュネーブにある湖の景色を描いている。この絵画は第二次世界大戦後、マイナーな作品とともに小規模な美術館に飾られていたが、専門家によって本物のクールベの作品であることが判明し、約70年ぶりに表舞台に戻ることとなった。

クールベ『レマン湖の眺め(1876)』|Jaeger-LeCoultreより

 ゴッホの『モンマジュールの夕暮れ(1888)』は、プロヴァンスの木々が夕陽に染まる、“黄金の時間”の豊かな色彩を捉えた作品だ。しかし1908年にノルウェーの実業家に購入された後、訪問客に偽物と判定され、屋根裏部屋で長く放置されることに。その後専門家の鑑定により、ゴッホによる本物の作品だと認定された。

ゴッホ『モンマジュールの夕暮れ(1888)』|Jaeger-LeCoultreより

 クリムトの『婦人の肖像(1917)』は、“二重の肖像画”として知られている。はじめは、クリムトが恋に落ちた若い女性が描かれていたが、彼女は若くして亡くなり、その悲しみを癒そうと、晩年に別の女性の絵を塗り重ねたのだという。作品は1997年にギャラリーから盗み出され、23年後に同じギャラリーの庭で発見されている。誰が、何のために行ったかは明らかになっていない。

クリムト『婦人の肖像(1917)』|Jaeger-LeCoultreより

 ジャガー・ルクルトのCEO、キャサリン・レニエ氏は、「複雑な絵画を小型化するのは、挑戦的な試みだった」と語っており、「絵画を所持している美術館にアプローチして、より詳細な解釈や色みなどについて話し合った」としている。各10個限定の「レベルソ・トリビュート・エナメル・ヒドゥン・トレジャーズ」は、90000ユーロ(約1200万円)で販売されるようだ。

(画像=Jaeger-LeCoultreより)

■堀口佐知
ガジェット初心者のWebライター兼イラストレーター(自称)。女性向けソーシャルゲームや男性声優関連の記事を多く執筆している。

〈Source〉
https://www.jaeger-lecoultre.com/ww/en/home-page.html
https://robbreport.com/style/watch-collector/jaeger-le-coultre-reverso-tribute-enamel-hidden-treasures-watches-1234642737/
https://www.ft.com/content/bddeaf04-bc5c-4d97-9bfa-91e8a6e48be2

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