日常組・ぺいんとが明かす、「動画編集・切り抜き・配信」それぞれへの向き合い方 「僕たちがそれを楽しめるのか、を優先する」
切り抜き文化への一早い対応
――編集に対するいろいろな思いがある一方、現在は配信もされてますね。配信はどうでしょう、編集がない部分について物足りなく感じたりとか……?
ぺいんと:そうですね、動画とはちょっと違いますよね。やっぱり自分で見せたくない部分、「普段だったらカットするじゃん!」ってところもあるんです。けど、やっぱり視聴者さんのリアルタイムの反応は、配信にしかない要素ですから。生放送だとその場で反応が返ってきて、僕もその反応に対してリアクションしたり。見てくれている人とのやりとりが密にできるという点で、配信はすごいなと思います。
――コメントをチェックするのは大変とは感じませんか?
ぺいんと:右の画面にコメントを表示して、メインの画面でゲームしてチラチラ見ながらやらないといけないのは、最初は大変でした。でも慣れたら全然苦ではなくて。逆に自分の中で「面白いことしたな」と思ってるときにちらっとコメントを見るんです。リアルタイムでみんなの反応を確認するとちょっと楽しくなっちゃってていいですね(笑)。
――そういうコメントをする視聴者さんの名前は覚えていくものなんですか?
ぺいんと:そうですね、けっこう覚えていると思います。リアクションとかツッコミをリスナーさん側から入れてくるんですけど、「この人わかってきてるな、この流れ」っていう(笑)。なんかもう、日常組じゃないけど「もう1人の日常組」みたいな、欠かせない人たちですね。もちろん動画のコメントやSNSの反応も重要ですけど、リアルタイムで一緒に楽しめていると全然違ってくるなと。一瞬一瞬をみんなで共有し合ってるのがすごく楽しくて……。いまめっちゃかっこいいこと言ったかもしれないですね(笑)。
――そのまま使おうと思います(笑)。配信については切り抜き動画がトレンドとして広がっています。日常組でもガイドラインを制定されてますよね。ある種、編集の外注化とも言えますが、編集にこだわりのあるぺいんとさんがどう考えているのかは気になるところです。
ぺいんと:そうですね。僕の中では、日本で切り抜きが流行る前から一時期『League of Legends』というゲームにハマってて、海外のTwitchストリーマーのクリップ集をもともと見てたんです。だから早く日本でも流行らないかなと思っていたんです。
――海外のクリップ集を見てるからこそ、こういうガイドラインの制定も自然な発想だったと。
ぺいんと:そうなんです。だから、逆にみんなどういう動画を作るのか、めちゃくちゃ楽しみなんです。誰か「ぺいんと悪口集」とか「下ネタ集」とか作らないかなとか(笑)。そういうのって、アルバムを見るように「こんなことあったなぁ」と懐かしい感覚になるんです。編集のされ方も感心しかないんですよね。「いや、ここはこうだろう」じゃなくて「こういう見方もできるんだ」みたいな。リスナーさんとしてはこういうところを面白いって思ってるのか、といつも勉強になっています。
――メンバーシップの方の状況はどうでしょう。
ぺいんと:もともとYouTubeのメンバーシップを始めたきっかけは、絵文字を使って欲しい、僕らの独自の絵文字を作りたいというところから始まっているんです。海外の配信者さんの配信を見ると、いろいろな絵文字があって、それを使ってリスナーさんがチャット欄で盛り上げるのがいい文化だなと思ってたので、それを定着させたいという気持ちがあったんです。ただ、メンバーシップは月額490円で始めて、1年間はそれでやったんですけど……なんだろう、もっとみんなに使ってほしいって思ったんですよね。
僕らのゲーム実況を見てる人たちって、学生さんが多いじゃないですか。そう考えると月々490円って学生さんからしたらけっこう大きな額で。メンバーシップを始めてまず1年間通して、それがわかってきた。別に僕らはメンバーシップでお金を儲けたいというところから始めていなくて、みんなでチャットを盛り上げて欲しいっていうところから始めたので、月額90円にしたんです。一番低い設定にして、それでいまは加入者も増えてきているという感じですかね。
――視聴者については書籍の序盤で、「きっと『視聴者がたくさん欲しい!』って気持ちで始めていたら、早々にリタイアしていたんだろうなぁ。」と書かれていたのが、エッセイの最後は視聴者への感謝で締められていたのが印象的でした。
ぺいんと:はじめは書いてあるとおり、とりあえず自己満足っていう感じで上げていたんです。けど、ある程度伸びてきてからはコメントがつくようになって。どんどんこだわりも出てきて思いつめちゃうこともあったんですけど、やっぱり視聴者さんがコメントで「待ってますよ」とか、もう何気ない言葉を言ってくれるだけでモチベーションになるようになりました。いままでは自己満足で、「俺はこの動画を作りたいんだ」という気持ちでやってたのが、リスナーさんが入ってきたことがさらなる新しいモチベーションになった。いまではもう僕のモチベーションの塊ですね。本当、親みたいな……僕がふざけてたら突っ込んでくれたり、ふさぎ込んでるときは辛いのが向こうに伝わるのか分からないですけど、ちゃんとすぐ心配してくれる。代理の親じゃないですけど、なんかそんな存在です。
――冒頭にもお話ししていた、アニメイトでのグッズ販売はいかがでしたか?
ぺいんと:なんだかんだ休止を挟みつつ、来年の3月で10周年なんですよね。その間にグッズをいままで出したことがなかったんです。視聴者さんも待ってたとは思うんですけど、僕としてはあまり売れないだろうなと思っていたんです。なんならちょっと怖かった。それを言い出したら書籍を出すこともめっちゃ怖かったんですけど(笑)。でもアニメイトさんで出させてもらって、あっという間に売れて再販決定っていう流れになってなんというか……買ってくれるんだというか。嬉しくなっちゃいましたね、感動しました。