日常組・ぺいんとが明かす、「動画編集・切り抜き・配信」それぞれへの向き合い方  「僕たちがそれを楽しめるのか、を優先する」

日常組・ぺいんと「動画への向き合い方」

 ぺいんと、しにがみ、黒猫のノア(クロノア)、トラゾーの4人で活動をしている「日常組」。『マインクラフト』の実況動画を主に投稿し、そのアットホームな空気感が、人気を博し現在チャンネル登録者数164万人(9月13日現在)を記録している。「マイクラ青鬼」シリーズや、「マイクラ盗賊」シリーズなど、自由度がウリの『マインクラフト』において、多種多様な企画力で、多くのファンを抱える彼らだが、そのメンバー・ぺいんと初のエッセイ本『だから僕は大人になれない』(KADOKAWA刊)が9月8日に刊行された。

 自身の半生の振り返りと動画制作へのこだわりを綴っている本書刊行に際した今回のインタビューでは、そんな動画編集へのこだわりとファンへの思い、配信や切り抜き動画など変化するYouTubeの環境について存分に話を聞いた。

“日常組”独自の企画スタイル

――書籍の計画はいつ頃から進められていたんですか?

ぺいんと:けっこう前から進んでいましたね。アニメイトでのグッズ販売と同時進行くらいで、いろいろな話をさせてもらっていました。最初、KADOKAWAさんからメールをいただいたときに、僕は断ろうと思ったんです。「僕の本ってなんだ」というところから、エッセイ本を読まなかったのでまず「エッセイって何だよ」というところから調べて、「そんなに僕のこと知りたいかな……」って思って、日常組のメンバーに相談したんです。そうしたら、「いや、お前はおもしろいからやっとくべきだよ」って。何回も「売れねーよ絶対!」という話をして、編集者さんにも「これ大丈夫ですかね?」と何回も確認して、めちゃくちゃ不安だったんですが、告知したときにはリスナーさんたちも反応してくれたし、周りの実況者さんも一緒に盛り上げてくれて「すごくあったかいな」と思いました。

ぺいんとから報告があるようです

――書籍では、日常組でも担当されている動画編集に対するこだわりにかなりのページ数を割かれています。編集を他の人にお願いすることに対する難しさも語られていましたが、具体的にどのような難しさ、逆に面白さがありますか?

ぺいんと:これはいまも現在進行形で、編集者さんとお互いの価値観をアップデートし続けている部分ですね。例えばBGM。ピンチになったときにピンチっぽい曲を流す……その雰囲気作りとか、その選び方に、ゲーム実況者さんやYouTuberさんなりのある程度決まったBGMの使い方があると思うんです。

――導入の部分だとこの曲が流れるよね、とか。

ぺいんと:そうですね。僕の中でもテンプレートみたいなものはある程度決まってるんですが、その時々で「ちょっとこの雰囲気は違うな」と思ったら新しい曲をどんどん入れていく派なんです。パート1を上げてから、パート2でまた新しい曲を追加することがけっこうあって。そういう選曲は、やっぱり人によって価値観が違うじゃないですか。

――テンプレートが決まっていると、価値観の共有がしやすそうですよね。

ぺいんと:そうなんです。けど、僕はいままで1人でやってきたときも「雰囲気に合ったBGMをその都度探す」というのが結構自分の中で重要な部分で。それは編集者さんたちにもやってもらいたい、クリエイティブな部分というか。いままで1人で探してきたので、編集者さんが入ってきたことによって、どう感じるのかちょっと楽しみで、逆に勉強になってもいますね。「こういう曲入れてくるんだ!」みたいな。

――日常組の4人の中での価値観の共有だけでなく、外部の編集者との価値観の共有が必要になってきますよね。編集の方針を伝える際はどういう伝え方、意思の疎通の仕方を気をつけていますか?

ぺいんと:編集者って呼ぶとちょっと仕事感がありますね(笑)。一応、僕の率いる編集チームのみんなは、わりと友だち寄りな感覚なんです。日常組の4人もそうだし、編集者さんたちとも友だちみたいな感じで接しているんです。友だちと「ここはこの曲じゃね?」みたいな。そういう楽しい――教室で話してるみたいな感覚でみんなで提案しあったりしていますね。

――伝え方といえば、書籍の中には実際に使っている企画書が掲載されていて、かなり興味深い部分でした。企画書を綿密に作っていくスタイルになった経緯をお聞かせください。

ぺいんと:もともと企画書を作り始めたのは、僕がいっぱいいっぱいになって日常組が活動を休止した後、再始動したときに「みんなでネタ会議をしよう」という話になったからなんです。最初はゲームタイトルや、「こうなったら面白いんじゃね?」というその場のノリで話し合うだけでした。けど最近、何だったら今年になってちょっと変わってきたというか。ネタ会議自体を楽しめたらいいなって。なので企画書の中に書いているちょっと訳がわからないあらすじは、完全に僕の趣味です。ネタ会議自体を撮影することはないので、ただ他のメンバーの3人を楽しませたいという気持ちで、ああいったネタの提案の仕方になってるんです。

――企画を考える際には、例えば他のゲーム実況者さんがどういうことをやってるのかや、YouTubeのアルゴリズムやトレンドも意識されるんでしょうか?

ぺいんと:そうですね。ゲーム実況者さんが上げてる動画のトレンドとかそういうのは結構見てますが「このタイトルがめちゃくちゃトレンドに入ってるから俺たちもやろう」とはならないんですよ。トレンドのことも気にしますけど「僕たちがそれを楽しめるのか」「僕らのやりたいことなのか」を優先する方が多いかもしれないです。

――例えば意識されている、気になるゲーム実況者さんはいらっしゃいますか?

ぺいんと:どうなんだろう……。気になるというか、僕としてはみんなに対して憧れみたいなのが常にあって、もう誰が気になってるとか言えないですね(笑)。結構仲良くさせてもらってるゲーム実況者さんのチャンネルとかは頻繁に見て、こういう企画をやってるんだってと覗いたりはしてます。

――やっぱりそこの編集や演出もチェックされているんでしょうか?

ぺいんと:そうですね、自分の中でも価値観を少しずつ面白いものにアップデートしたいんです。けど面白いものを見ると、引っ張られちゃうことが多いんですよ。なのですごい参考にしつつ、引っ張られない自分のオリジナリティを何とか出していくっていうのを意識してますね。

 ゲーム実況者さんってみんな面白いから真似しちゃうんですよ! それが手っ取り早いと言えば早いんですよね。多分、始めたてだったら真似するのが一番いいんですけど、いまはもう日常組自体がそういう段階にないのかなとは思ってるので。

――本に書かれていたところだと、やる気が起きないときは好きな映画を見ていると語られていました。映画で使われていた編集や演出を動画に反映されているんでしょうか。

ぺいんと:ゲーム実況でもオープニングを作るんですけど、例えば映画や海外ドラマで場面が転換するとき――トランジションというんですけど、その見せ方――例えば目にズームアップして次のシーンにいったりとか、そういう演出は参考にします。ただゲーム実況はその場その場の即興なので、映画やドラマとはなかなか結びつけづらい部分もあるんですよね。

――お話から察するに、編集にはこだわりがある一方で辛さも感じているようですね?

ぺいんと:もう……作業として辛くないことなんてないんですよね!(笑) 強いて挙げるなら、自分の頭の中にあるイメージをうまく映像として落とし込めないときが一番辛いです。頭の中ではめちゃくちゃ良いものが完成してるのに、なんで上手くできないんだろう……って。自分が納得いかないまま進んでしまうのがちょっとつらいのかなと思います。



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