世界で最も軽い固体って? 海外YouTuberがNASAも注目する素材を紹介
海外のYouTubeチャンネルで、1つ賢くなる知識を身につけるのはいかがだろうか? チャンネル登録者数1,020万人、アメリカの化学系YouTubeチャンネル「Veritasium」がおもしろい。
Veritasiumは科学を中心とした教育系YouTubeチャンネルで、この世のあらゆる疑問を解決する動画を投稿している。
Veritasiumの動画のなかでも、特に興味深いのが「World's Lightest Solid!(世界で最も軽い固体!)」。現時点で、再生回数は約3,646万回だ。あなたは、この世で最も軽い固体をご存じだろうか?
この世で最も軽く、また最も密度の低い固体は「エアロゲル (aerogel)」。エアロゲルとは、99.8%が空気で構成されている構造体で、重さはたったの1.22グラムだ。少し青みがかった色で、背後が明るいと見えづらいが、暗い背景だとハッキリ見える。
エアロゲルが優れているのは軽さだけでなく、その断熱性にある。動画では、ガラス皿とエアロゲルの上にそれぞれウサギ型のチョコレートを置き、下からガスバーナーで熱する実験を行った。
まず、ガラス皿の上に置いたウサギは、1分を過ぎると煙を上げ初め、1分49秒後にはガラス皿にヒビが入り割れてしまった。もちろんチョコレートは溶けてしまい、やや液状になっている。
一方で、エアロゲルはどうだろうか? エアロゲルの上に乗ったチョコレートは、熱し始めてから2分を過ぎても原形のままで、一切溶けていない。
サーモグラフィーカメラで見ると、エアロゲル自体は高温になっているものの、上に乗っているチョコレートまで熱が伝わっていない。実際に動画内で、エアロゲルの上の表面を触っているシーンがあったが、「触れるほどの熱さだ」と語っている。
結果、6分経過するまでチョコレートは熱から耐え続けた。
なぜエアロゲルは、断熱性に優れているのか? それは、構造内部の細孔の仕切りにある。エアロゲルは無数の粒子が結合してできており、小さな穴が無数に空いている。エアロゲルの骨格が空間を仕切っているため、ガスの対流が起こらず、熱が伝導しづらい環境となっているという。
これは「魔法瓶」の仕組みと似ている。魔法瓶の外側が真空なので熱が外へ伝導しづらく、暖かいお茶をそのまま持ち運びできるというわけだ。
実はエアロゲルは、NASAが注目している素材でもある。NASAは過去、火星探査車にエアロゲル断熱材を使用していた。それは、火星の寒さから、探査車の電子機器が冷えるのを守るためだ。
NASAは将来も、火星探索でエアロゲル断熱材の利用を計画しており、地球の進歩には不可欠な素材ともいえる。
ほかにも、VeritasiumのYouTubeチャンネルでは「毒性のある動物が温暖な気候に住むのはなぜ?」といった、教育系の動画を多く投稿している。
専門的な話が出てきて難しい内容も多いが、動画自体はどれも非常に視聴しやすい。実際に、冒頭の動画には3DCGが用いられており、英語がわからなくても、エアロゲルの仕組みはなんとなく理解できる。
飽くなき知識への探求心をもつあなたにとってワクワクする動画が多いので、ぜひこの機会に視聴してほしい。
・VeritasiumのYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/veritasium/featured
(Source)
https://www.tiem.jp/faq/
https://www.zojirushi.co.jp/cafe/merit/shikumi/