ニコ生からYouTubeでのタレント大量参入まで 10年超にわたるメイク動画のトレンドを分析してみた
昨今、メイクやファッションといったトレンド情報を収集する方法の1つとして、YouTubeを利用する人が増加。その結果、近年のメイク動画は、プロ顔負けのHow Toや、いちユーザー目線での忖度なしのコスメ比較が見られるのが当たり前になってきた。
思い返せば、メイク動画が盛り上がりを見せたのは2010年前後のこと。2007年にサービス開始したニコニコ生放送の影響が大きいと分析する。
特に多くの印象に残っているのは、女性生主(生放送の配信者のこと)クサカアキラさんが2010年にアップした、すっぴん姿からメイクを施していく”化粧配信”だ。
今ほどSNSが発達していなかった当時、アイドルがすっぴんの自撮りを投稿することも多くはなく、女性の化粧前後を見る機会はせいぜい雑誌くらいだった。
それが突然、外出前の一般女性が準備する姿を生放送で見られるようになったのだから、世間は物珍しかったのだろう。2021年現在、この動画は300万回以上再生されている。
実際、当時の動画を改めて見返すと、2021年現在のメイク配信に見られる「そのコスメどこのですか?」「どうやったらうまく使えますか?」といったコメントはほとんどなく、「すげー」「16分前にいた人はどこへ?」などメイクだけで変化していくという事実に対する驚きと感心を示すコメントが多く見受けられる。当時は女性の“素”を見られることこそがメイク動画の価値だったのだろう。
そこからYouTubeが普及し、メイク動画の概念は大きく変化した。
その代表格としてあげられのが、2016年6月16日にYouTubeの「好きなことで、生きていく」キャンペーンの第4弾に抜擢された関根りさだろう。
関根が初めて動画をあげたのは2012年2月のこと。これまでバラエティ色が強かったYouTubeコンテンツの中で「デカ目メイク」や「◯◯風メイク」といった、さまざまな切り口からのメイク動画を投稿し、共感を集めた。
そして2014年には雑誌『Popteen』や『LARME』などで活躍していたかわにしみきが美容系YouTuberとして活動を開始。2016年には“ゆうこす”こと菅本裕子が「ゆうこすモテちゃんねる」にて「毎日のモテメイク」を、同年12月には当時NMB48の現役メンバーだった吉田朱里が「アカリンの女子力動画」として「1日とれない巻紙の作り方」や「アイメイクの基本」をアップし始めた。
このように美容系のYouTuberが増加したことにより、メイク動画は“誰かのありのまま”を覗くものから、How Toを知るためのコンテンツへと変化。今のメイク動画の礎が築かれて、「メイク動画」「美容系YouTuber」というカテゴリーが定着していった。