性別不詳のVTuber・緑仙が切り開いた、成功の“スペシャルパターン”

 漫画好きという側面は、ソロシンガーの活動にも繋がっていく。オリジナル楽曲「イツライ」の発表時には、自身のTwitterアカウントにてイラストレーターの由季氏制作のオリジナル漫画「バーチャルに生きる僕のリアルの話」を投稿。バーチャルライバーとして活動するかたわら、学校生活を送る緑仙の姿が描かれており、またMVもこのオリジナル漫画を基にしたビデオになっている。

イツライ / 緑仙 (Official Video)

 同じように2021年6月に発表されたオリジナル楽曲「君になりたいから」でも同様の手法でマンガとMVを投稿。仙河緑として過ごす自分と、緑仙というヴァーチャルライバーとして活動する理想的な自分とが、徐々に日常の中で溶け合い、自己実現へと進んでいこうとする前向きなメッセージが込められている。

君になりたいから / 緑仙 (Official Video)

 この流れに乗って、7月には「大学生なので、私服も配信で着てみようかなと思いました。」(動画概要欄より)ということで新衣装をお披露目している。

緑仙、服を買う

 こういった部分にかぎらず、大型企画などでうかがい知れていたプロデュース力の高さが徐々に自分にむけて発揮されているとも言えよう。マンガやアニメを愛し、歌を中心に活動する「緑仙」という存在、そのイメージ戦略・セルフブランディングを巧みにプロデュースしているのがよくわかる。

 ところで、緑仙の容姿をみて、男性だと思っただろうか? 女性だと思っただろうか?。一人称は「僕」なのだが。実は性別については不明とし、これまで一切公表をしていない。そのことをうけ、今回の記事内では緑仙のことを彼・彼女と呼称することをやめ、「緑仙」と固定して書かせていただいた。

 なぜ緑仙は、男性とも女性ともハッキリと公表しないのか。そこには、エンターテイナーとしての自信と夢が混ざり合った緑仙の美学、負けず嫌いな顔、高いセルフプロデュース力を感じ取ることができよう。

「例えば、男の人だと思って見てみたら女の人で、『なんだよ女かよ』と思われて応援を辞められてしまう。そういうのがすごく悔しい。男であろうと女であろうと、後悔させないぞ!という気持ちがある。」(緑仙の性別はどっちなの?という質問に関して)

〈Source〉
https://realsound.jp/2020/05/post-551583.html
https://cocotame.jp/series/017998/
https://toppamedia.com/interview-2019-5-ryushen/

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