『風雨来記4』と『ゆるキャン△』『スーパーカブ』の共通点と“現代カルチャーへのメッセージ”

『風雨来記4』『ゆるキャン△』『スーパーカブ』の共通点

 7月8日、『風雨来記』シリーズの第4作『風雨来記4』が発売となった。

 前作にさまざまなアップグレードを施し、8年ぶりにリリースされた最新作は、旅ゲーの歴史に名を刻むタイトルとなれるだろうか。

 本稿では、シリーズの概要と魅力を踏まえつつ、ある人気アニメとの共通点を考えていく。

人・場所との出会いを描いたアドベンチャー『風雨来記』シリーズ

『風雨来記4』ゲーム紹介ムービー

 『風雨来記』シリーズは、出版社で働くルポライターを主人公とするアドベンチャーゲームだ。2001年にPlayStationでリリースされた同名の初作を皮切りに、これまで全4作が発表されている。各タイトルに共通するのは、旅企画の取材のため、舞台となる地域を訪れ、そこでさまざまな人や観光スポットと出会っていくこと。バイクを移動手段とし、キャンプで夜を明かす点も、シリーズの特徴となっている。

 今回発売となった『風雨来記4』では、主人公・榊千尋が雑誌社対抗の記事コンペティションに参加するため、岐阜県を探訪する。360度カメラで撮影されたリアルなツーリング映像は必見だ。7月22日には、隣接8県(「静岡・長野」「富山・石川」「福井・滋賀」「三重・愛知」)の一部が新たなエリアとして追加されるダウンロードコンテンツの制作も発表された。“旅ゲー”の新定番となることが確実視されているのが、シリーズ20周年のアニバーサリータイトル『風雨来記4』である。

支持の理由は「日常」と「作り込み」にあり?見えてきた人気アニメとの共通点

 『風雨来記4』には、登場するヒロインキャラクターたちとの恋模様を楽しむ「恋愛アドベンチャー」としての側面と、舞台となる地域に存在する有名・無名の観光スポットを巡る「旅アドベンチャー」としての側面がある。2つの異なった性質をつなげているのは、距離や制限時間、体力などの制約の下に与えられている“自由度”だ。

 同タイトルでは、さまざまある選択肢の中から、プレイヤーの好みで遊び方を組み立てられる。「誰と親密になるか」「どの観光スポットを巡るか」といったゲーム性の根幹が、遊び手の選択に完全に委ねられている格好だ。もちろんこうした“既定路線”に乗らない自由もある。その、どこか私たちの日常にも近い体験が、『風雨来記』の唯一無二の魅力となっている。

 その特性を、シリーズの登場から20年が経った現代のカルチャーに照らし合わせると、“あるトレンドアニメ”と共通する部分が見えてくる。そのアニメとは。『ゆるキャン△』『スーパーカブ』である。

TVアニメ「ゆるキャン△」予告編第二弾映像

 両作は、前者が2018年1月(2期は2021年1月)、後者が2021年4月にTVアニメとして放送された。どこにでもいる女子高生たちが、「アウトドア」や「スーパーカブ」といった、ともすれば“男性的”とされる文化に出会い、没入していく姿を描いた人気の作品だ。“特別感のない毎日”の中にある人間模様がひとつの見どころとなっており、変化する仲間たちとの絆や関係性によって、主人公は回を追うごとに少しずつ、人として成長していく。原作はそれぞれ、マンガ、ライトノベルとなっているが、映像化を契機に支持や知名度を広げた点では、アニメカルチャーのトレンド作品として扱うこともできるだろう。

 これらと『風雨来記』のあいだには、「特別でない日常の中にこそ、感じておきたい何かがある」という大切なメッセージが存在している気がする。刺激的なフィクションがあふれ、評価される時代に、“普通であること”や“静かさ”を貫いた各作品。そこには、ただそのものの面白さだけではなく、世の風潮に対する問題提起のようなものも感じ取れるだろう。

 また、『ゆるキャン△』と『風雨来記』、『スーパーカブ』と『風雨来記』には、「アウトドア」や「二輪車」といった共通項もある。それぞれには、「キャンプ」「スーパーカブ」「バイク」「旅」といった扱うテーマに応じ、その分野に精通する視聴者・プレイヤーも納得の知識や描写が盛り込まれた。各作品が支持を集める背景には、娯楽作品の域を超える、妥協のない、本格的な作り込みの存在もあるのではないだろうか。



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