米英でTikTokがYouTubeを上回った理由とは? YouTube優勢の日韓と比較して考えてみた
先日行われた調査で、米・英国でのTikTokの利用時間が、YouTubeを上回っていることが明らかとなった。本記事では、その要因を考察し、各メディアの見解を紹介する。
米調査会社AppAnnieは、パンデミック前後(2019年第4四半期・2021年第2四半期)を比較して、大きな成長を遂げているモバイルアプリの調査を行った。その結果、2021年5月の時点で、米国のユーザーはTikTokを月に24.5時間、英国では月に26時間を費やしているのに対しYouTubeは、米国で22.5時間、英国で16時間と、両国ともTikTokを下回っていることがわかった。一方日本、韓国では、YouTubeの利用時間がTikTokを2.5倍上回る結果に。韓国ユーザーは、TikTokを月に17時間、YouTubeを40時間視聴しているようだ。
ざっくりと言えば、米英では短尺動画、日韓では長尺動画が人気のようだ。以下ではいくつかの仮説を元に、その理由を考察したい。
まず多くのユーザーが動画を視聴する時間であろう、通勤時間を比較してみる。通勤時間が長いほどYouTubeなどの長尺時間を見る余裕があり、短いほど短尺動画の方が都合が良いのではないだろうか。
イギリスの西イングランド大学の調査によると、各国の1日の平均通勤時間(往復)は、米国が50分、英国が1時間、日本は1時間10分となっている。韓国では、通勤時間が最も長いソウルで1時間36分、最も短い全南で1時間6分だそうだ(韓国国土交通部調べ)。日本・韓国の通勤時間は米・英国よりも長く、長尺動画を見るのに適しているのかもしれない。
次に、睡眠時間を比較してみる。単純に起きている時間が長いほど、長尺動画に費やせる時間が確保できるのではと仮定するとしよう。
OECD(経済協力開発機構)の2019年の統計「Gender Data Portal 2019」によると、1日の平均睡眠時間は、米国の8時間47分、英国の8時間28分と比較して、日本は7時間22分、韓国は7時間51分だそうだ。日韓の睡眠時間は英米と比較して、30〜1時間半短いことになる。勤務時間やライフスタイルの違いもあり一概には言えないが、可処分時間が長いほど、長尺動画にあてられる時間も長くなると考えられそうだ。
最後に、両者の年齢別の利用率と、各国の人口比率を比較してみよう。
日本ではYouTubeの利用率が、60代以外の全年齢層で70%を超えている。米国のデータでも、年齢区分が多少異なるものの大差ない数値となっている。
一方でTikTokのユーザー層は、16〜24歳が47.7%、25歳以上が52.3%と、若年層が約半分を占めている(2020年AppAnnie調べ)。
各国の24歳以下の割合は、米国が33.1%(2020年)、英国が30%(2015年)、日本が22%(2017年)、韓国が25%(2017年)だ。対象とするユーザーの割合が日韓より多いことも、TikTokが米英で躍進した要因といえるかもしれない。