Twitterもいよいよ本格参戦 注目の音声SNS、ヒットの理由は“ちょうどよさ”にあり?
Clubhouseは使用されている技術が真新しくなくても音声会話アプリが注目を集められることを証明し、同アプリの登場以降、類似のアプリや機能が次々とリリースされた。そして、ついにTwitterもClubhouseに追随する機能を正式リリースした。
フォローしていなくても視聴可能
Twitterはアメリカ現地時間3日、iOSおよびAndroid向け音声会話機能「Spaces」の正式リリースを発表した。同機能を簡単に言えば、Twitter版Clubhouseだ。昨年12月からiOSでベータテストが始まり、Androidでは3月からテストしていたものが満を持して提供される。ただし、同機能を使えるのは、フォロワー数600人以上のユーザに限られる。
Spacesを利用するには、まずユーザはSpaceと呼ばれる会話する部屋を作成する。Spaceを開始したりSpace内で発言したりすると、タイムラインの上部に紫色のバブルが表示される。Spaceにおける会話は、Spaceを作成したユーザをフォローしていなくても聴くことができる。Spaceで会話できるのは、デフォルト設定ではSpaceを作成したユーザがスピーカーとして招待したユーザに限られる。この設定は、「全員」あるいは「フォローしているユーザ」に変えられる。なお、Spaceで話せるユーザは最大11人までだ。
Spaceは、今後さらなる機能拡張が予定されている。そうした機能は、以下の通り。
・Spacesへの参加を有料にできる「チケット制のSpaces」。チケット販売による収益の一部は、Twitter社が手数料として徴収する。
・Spacesのリマインダーをスケジュール設定できる機能。聞き逃しを予防する。
・作成したSpaceを共同管理できる共同ホスティング。この機能によって、例えばSpaceから一時離席しても管理を共同ホストに引き継げる。
・ライブキャプション、一時停止、カスタマイズにも対応。
・ホームタイムラインにある紫色のバブルが表示されたユーザのプロフィール画像からのSpaces参加も可能となる。
Spacesに関するさらなる詳細は、本記事末尾にURLを示すSpacesのブログ記事およびTwitterヘルプセンターのSpacesのページを参照のこと。
「ゴルディロックス」な特徴がコロナ禍にフィット
以上のようなSpacesを含む市場は最近ではソーシャル音声アプリ市場と呼ばれ、市場関係者の注目を集めている。スタートアップを支援するメディア『sifted』は4月16日、同市場を特集した記事を公開した。その記事では、同市場が注目されるようになった原因をさぐっている。
アナリストのJeremith Owyang氏は、ソーシャル音声アプリの特徴を「ゴルディロックス」と形容する。この単語は「ちょうどいい程度」を意味しており、イギリスの童話『3匹のクマ』を出典としている。この童話には、3匹のクマが住む家に迷い込んだ少女ゴルディロックスがちょうどいい温度のお粥を食べるというエピソードがある。
Owyang氏によれば、ソーシャル音声アプリはFacebook MessengerやLINEのようなテキストベースのチャットアプリよりは人間味があり、Zoomのような動画が中心となるアプリよりは注意力を必要としないテキストと動画の中間に位置している。このちょうどいい「ゴルディロックスな」な位置が、Zoomには疲れたがテキストによるコミュニケーションよりは温もりが欲しいコロナ禍のニーズにマッチしたと考えられる。
Siftedの記事は、(記事公開当時はまだテスト中だった)TwitterのSpacesとClubhouseのどちらがより市場シェアを獲得するかについても論じている。両者を比べると、Spacesに軍配が上がると考えられる。というのも、Twitterはすでにニュースアプリとしての地位を確固としており、ユーザは新たなニュースを聴くためにSpacesを利用するようになるからだ。