人気カップルYouTuber「えむれな」の破局から考える “思い出共有エンタメ”の輝きとリスク
だが、問題はもう1点のほうだ。それらの動画がまだ見ぬ誰かに悪意を持って利用されることだ。赤裸々なプライベートな風景も動画にして届けるカップルYouTuberの場合、デリケートな話題も少なくない。悪意を持って動画や画像を切り取られてしまう可能性、センシティブなタイミングで面白おかしくイジられてしまうリスクから身を守る術は残念ながら見当たらない。
これは人生の一部を動画としてショーにしているYouTuberならではの悩みに感じられるが、SNSを少しでも利用している人であれば決して他人事ではない。友だちとの旅行風景、恋人とのデートシーン、誕生日のお祝いの様子、結婚や出産報告、子どもの成長記録……喜ばしい思い出を心がはずむままにネット上にアップしている人も少なくない。知名度に応じてその影響力は異なれど、楽しかった思い出が不本意な形で利用されて嫌な思いをするという意味では誰でも同じだ。
今回のニュースは、SNSやYouTubeがエンタメの場として発達していく一方で、その先にあるリスクを改めて考えるきっかけとなったのではないだろうか。様々なジャンルのYouTuberが誕生し、それまで語られなかったような勇気あるコンテンツのおかげで、多くの人が救われることもたくさんある。願わくば、そうしたリスクに怯えずに多くの人が自己表現を楽しめる場であってほしいが、便利なものほど使い方次第で凶器にもなりうるということを忘れずに。